コラム

医療機関受診で使う同行援護のすべて 支援内容、事前準備、当日の流れ、プライバシーと費用まで

医療機関受診で同行援護を使うと、具体的にどんな支援を受けられるのか?

ご質問の「医療機関受診で同行援護を使うと、具体的にどんな支援が受けられるのか」と、その根拠について、実務での運用と制度上の規定の双方から、できるだけわかりやすく整理します。

結論から言うと、同行援護は視覚障害のある方が医療機関へ安全・円滑に通院し、必要な情報を得て意思決定できるよう、「移動の援護」「情報支援(代読・代筆・音声情報化等)」「コミュニケーション支援」「必要最小限の身体介助(外出中に付随する排泄や食事等)」を一体的に提供する仕組みです。

医療行為や意思決定の代行はできませんが、受付から会計・薬局まで、現場で本当に必要となる実務的なサポートはほぼカバーされます。

1) 医療機関受診時に想定される具体的支援の流れ
– 外出前の準備(当日サービス開始後に付随的に行うもの)
– 予約内容や持ち物(保険証・受給者証・お薬手帳・紹介状)の確認、忘れ物防止の声かけ
– 経路・運行情報の確認(運休・遅延・混雑情報の口頭共有)
– 事前連絡が必要な場合の院内連絡の補助(ただし、サービス時間外の電話代行は算定対象外の扱いが多く、自治体運用に差があります)
– 自宅から医療機関までの移動支援
– 安全な歩行誘導(段差・階段・工事・駐車車両・人流・天候リスクの情報提供、白杖使用に合わせた誘導)
– 交差点・信号・音響式信号の有無やタイミングの案内
– 公共交通機関の乗降・乗り換え誘導、混雑時の安全確保、優先席や乗車位置の案内
– タクシー利用時の乗降誘導、行先の伝達補助、レシート受領の補助(運賃は本人とヘルパー分の実費を本人が負担するのが通例)
– 施設到着後〜受付・待合
– 入口から受付窓口・総合案内・科別受付までの誘導
– 案内表示・電光掲示・館内放送などの代読・音声化
– 保険証・受給者証・紹介状・お薬手帳の提示支援、返却物の管理補助
– 問診票・同意書等の代読・代筆(本人の意思を確認し、その内容を忠実に記入。

本人自署が求められる書類は院内ルールに従う)
– 待合での呼び出しの聞き取りと案内、検査室や診察室までの誘導
– トイレの位置案内・誘導、必要に応じた外出中の排泄介助
– 検査・診察時
– 診察室や検査室への安全な導入、レイアウト・人の位置・動きなどの環境情報を口頭で提供
– 医師・看護師・事務職の説明や指示の聞き取り補助、重要事項の復唱・要約の協力、説明文書の代読
– 署名・押印が必要な場面での記入欄の位置案内、代筆が許される場合の代筆(本人の明確な意思確認が前提)
– 医療判断や同意の代行は不可。

必要なら家族や成年後見人等への連絡を取り次ぐ
– プライバシー配慮(同席可否や録音可否は医療機関の規則に従う)
– 会計・院外薬局
– 会計窓口までの誘導、番号札・呼出しの把握、金額や支払方法の案内
– 金銭の取り扱い補助(必要額の確認、トレーへの出し入れの支援、領収書・明細・次回予約票の受け取りと代読)
– 処方箋の受け取り、連携薬局への移動、薬剤師の説明の聞き取り補助と重要事項の確認、薬袋・ラベルの代読
– 帰路・帰宅まで
– 次回予約日時・場所の確認、交通経路の口頭整理
– 往路同様の安全な移動支援
– 帰宅時の鍵の開閉・段差などの危険回避支援、必要に応じて当日の記録・領収書の保管補助

2) 受けられる支援の範囲と留意点(できること/できないこと)
– できること
– 視覚情報の音声化(掲示・票・書類の代読)、記入補助(代筆)
– 道中および院内の移動誘導、安全確保
– 外出に付随する最低限の身体介助(排泄・水分補給・食事等)
– 金銭や証書類の扱いの補助(必要額の確認、受け渡しの支援、収納補助)
– コミュニケーション支援(相手表情やジェスチャーの言語化、要点の確認)
– できないこと
– 医療行為(投薬・注射・創処置等)や医療専門的説明の解釈・評価
– 本人の意思に反する代行判断、医療同意の代理
– 本人不在での手続代行(原則としてサービスは本人同行が前提)
– 運転送迎(自動車の運転はサービス外。

タクシーや公共交通の利用に同行)
– 外出目的と無関係な家事・買い物等(ただし通院に付随し必要最小限の飲料購入等は地域運用で認められる場合あり)
– 人数・安全
– 通常は1対1の支援。

重度の盲ろうや歩行環境が危険なケースで複数名配置が必要な場合は、市町村の支給決定で判断
– 施設の感染対策や同席制限には従う(必要に応じて待機し、呼出し時に再合流)

3) 費用・時間・交通費の扱い
– 費用
– 同行援護は障害者総合支援法の介護給付に位置づき、原則1割自己負担(所得に応じて月額上限あり)
– 交通費や施設入場料等の実費は、本人およびヘルパー分とも利用者負担とする取り扱いが一般的(事業所の実費徴収規程に基づく)
– 時間
– 市町村の支給決定量の範囲で、事業所の提供時間単位により算定。

通院所要時間は個別支援計画に反映
– サービス時間外の電話代行・下見等は算定外の扱いが多く、必要時は当日サービス内で実施する等の計画調整が現実的

4) 実務イメージ(事例)
– 内科受診
– 自宅発→最寄り駅へ誘導→乗車・乗換え支援→病院受付の誘導→問診票代読・代筆→呼出し案内→診察同席・説明の要点確認→会計支援→院外薬局での薬の説明の聞き取り補助→帰路誘導→帰宅
– 検査中心の外来(採血・CT等)
– フロア・検査室の位置案内、検査前後の注意事項代読、金属類外しや更衣の案内補助、検査後の観察指示の再確認
– 眼科受診
– 散瞳後の強いまぶしさや視機能低下に合わせた安全配慮(ルート選択の変更、タクシー利用提案、滞在時間延長の調整)

5) 利用までの手続き(簡略)
– 市町村の障害福祉窓口に相談→障害支援区分等の審査→同行援護の支給決定・受給者証交付→相談支援専門員とサービス等利用計画を策定→同行援護事業所と契約→利用開始
– 既に受給者証があり計画内に通院が想定される場合、事前に事業所へ日程・時間・行先・想定業務(代読・代筆の有無等)を伝えるとスムーズ

6) 根拠(制度上の位置づけ・基準・公的解釈)
– 法律上の位置づけ
– 同行援護は、障害者総合支援法に定める介護給付の一類型(視覚障害者等の外出時の移動支援を中核とし、外出先での代読・代筆等の情報支援や付随的介護を含むサービス)として規定されています。

– 省令・運営基準
– 指定障害福祉サービス等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)に、同行援護の提供内容が定義されています。

ここで「移動に必要な情報提供」「移動の介助」「外出先での代読・代筆」「外出中に必要な排泄・食事等の介護」等が例示され、提供記録、秘密保持、実費徴収、苦情解決などの運営ルールも定められています。

– 厚生労働省の通知・Q&A
– 厚労省の「障害福祉サービス等の提供に係る基準・報酬に関するQ&A(同行援護)」では、病院受診は同行援護の対象外とはされておらず、外出先での代読・代筆、金銭の取り扱いの補助、院内移動の誘導、コミュニケーション支援等が可能であること、他方で医療行為や意思決定の代行はできないことが示されています。

事前準備(経路確認など)の扱いは「当日のサービス時間内に付随的に行う」ことが想定され、時間外の単独代行は算定対象外と整理されるのが一般的です。

– 人材要件
– 同行援護従業者は、同行援護従業者養成研修(一般課程・応用課程)を修了するなどの要件が省令・通知で定められており、視覚障害特性に応じた歩行誘導、情報支援、接遇・倫理(守秘義務)等を習得しています。

– 自治体の手引き
– 東京都など多数の自治体が公表する「同行援護の手引」でも、通院時の支援(受付・問診票の代読代筆・会計・薬局同行等)が具体例として明示され、禁止事項(医療行為、意思決定代行、本人不在での代行等)も整理されています。

– 参考情報(確認先の例)
– 厚生労働省 障害者総合支援法 概要・制度解説ページ
– 厚生労働省 指定障害福祉サービス等の人員・設備・運営に関する基準(同行援護該当箇所)
– 厚労省 事務連絡・Q&A「同行援護に関するQ&A」
– 自治体の「同行援護の手引」「実施要綱」(例 東京都福祉保健局ウェブサイト)
これらは「厚生労働省 同行援護 基準」「同行援護 Q&A 病院」「東京都 同行援護 手引」などの検索語で比較的容易に入手できます。

正式な条文番号や最新運用は自治体・事業所で必ずご確認ください。

7) よくある質問とポイント
– 通院のついでの買い物は可能か
– 医療目的に付随し、支給決定量の範囲で安全かつ必要性が認められる場合は計画内で調整可能なことがあります。

自治体運用差が大きいので事前確認を。

– 付き添い者の交通費は誰が払うか
– 原則として利用者が実費負担(交通系ICや現金、後日まとめ請求等、事業所規程による)。

– 付添は診察室まで入れるか
– 医療機関の判断によります。

個人情報・感染対策上の理由で制限されることもあり、その場合は出入り口での動線管理や呼出し対応に切り替えます。

– 音声録音はできるか
– 医療機関の同意があれば可能な場合もありますが、禁止としている医療機関もあるため、事前確認が必要。

8) まとめ
– 医療機関受診時の同行援護は、移動の安全確保に加え、受付・問診票・診察内容・会計・薬局説明といった「視覚情報のバリア」を埋める実務支援を一貫提供します。

根拠は、障害者総合支援法における同行援護の法的定義と、厚生労働省令の運営基準、並びに厚労省Q&A・自治体手引による具体的解釈にあります。

禁止事項(医療行為・意思決定代行等)を除けば、通院に実際必要な支援の多くは制度上カバーされています。

実費や時間の扱い、事前準備の算定可否などは自治体の運用差があるため、受給者証の発行自治体と契約事業所に、事前に具体的な受診シナリオ(日時・科・想定所要・必要な代読代筆の有無等)を伝え、個別支援計画に落とし込んでおくと安心です。

必要でしたら、お住まいの自治体名を教えていただければ、該当自治体の手引やQ&Aへのリンク探しと、通院時のチェックリスト(持ち物・想定タスク)も作成します。

予約から当日まで、事前準備として何を確認・伝えるべきか?

以下は、同行援護を利用して医療機関へ受診する際に、予約から当日までの「事前準備として確認・伝達しておくべきこと」を、実務の流れに沿って整理したものです。

併せて、可能な範囲での根拠(制度・法令・厚生労働省の基準や一般的な運用)も示します。

1) 受診の予約を取る前(計画段階)
– 受診目的と必要な支援内容の整理
– 受診科、検査の有無、所要時間の見込み、診察室への同席希望の有無、代読・代筆の必要性を明確化。

– 根拠 同行援護は「外出先での情報支援(代読・代筆等)、移動の援護」を提供するサービス(障害者総合支援法および厚労省の運営基準)。

何を支援するのかを事前に合意しておくことが運営基準上求められる個別援護計画の作成・実施に資する。

– 支給量(利用可能時間)と日程の擦り合わせ
– 同行援護の月間支給量の範囲内で収まるか、長時間化が見込まれる場合は事業所・相談支援専門員・市区町村と事前調整(必要に応じて計画変更の検討)。

– 根拠 障害福祉サービスは受給者証に記載の支給量の範囲で提供。

想定超過時は計画の見直しが必要。

– 移動手段の方針確認
– 公共交通機関、タクシー、徒歩の割合、乗換回数を確認。

車の運転代行は不可(支援者の自家用車での送迎や運転は原則業務範囲外)。

– 根拠 同行援護は移動の援護・情報支援であり「送迎業務」や自動車運転は含まれないのが運営基準の一般的解釈。

タクシー同乗は可だが運賃は利用者負担。

– 安全配慮・ガイド方法の確認
– 利用者の歩行特性(白杖/盲導犬、歩行速度、階段・エスカレーターの可否、誘導方法の好み)、既往症(転倒リスク等)を共有。

– 根拠 同行援護従業者養成研修で定められる安全な身体誘導・情報提供スキルに基づく事前確認は必須。

2) 医療機関への予約時に確認・伝えること
– 予約基本情報
– 受診日時、診療科、予約番号、初診か再診か、想定所要時間、検査の有無、受付締切時刻、遅刻時の取り扱い。

– 同伴者の有無と範囲
– 「同行援護の支援者が同伴します。

視覚障害に伴う代読・誘導の支援を行います」と事前に伝える。

診察室・検査室への同席可否、呼出方法(音声で呼ぶ、スマホ通知不可の場合の配慮)を確認。

– 根拠 障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供は医療機関にも求められる。

本人の同意があれば同伴は柔軟に認められるのが通例(プライバシー保護の観点からも事前合意が望ましい)。

– バリアフリー情報
– 入口の段差、エレベーター位置、点字ブロック、トイレの場所、受付動線、検査部門の離れ具合、待合の混雑傾向。

– 根拠 同行援護の任務は「外出先における情報支援」を含み、事前の環境把握は安全・効率に直結。

– 感染対策・同伴制限
– 同伴人数制限、マスク等のルール、発熱時の来院可否・連絡先。

– 根拠 医療機関の安全管理規程に従う必要があるため。

– 紹介状・選定療養費
– 200床以上の病院などで紹介状がない場合、初診時選定療養費がかかることがあるため、必要性を確認。

– 根拠 選定療養制度(厚労省告示)。

費用負担回避のため紹介状の有無を事前確認が有効。

3) 受診前の1週間〜前日までに準備・共有すること(利用者⇄事業所・従業者)
– 当日の持ち物の確認
– 健康保険証、診察券、身体障害者手帳(交通・医療費減免の可能性)、受給者証(障害福祉サービス)、お薬手帳、紹介状、検査指示書、現金・キャッシュレス手段、交通系IC、印鑑(必要時)、スマホ充電、雨具・防寒具。

– 根拠 同行援護は代読・誘導はできるが本人の本人確認・保険資格確認は医療機関の要件。

障害者割引は手帳提示が必要。

– 時間計画(行程表)
– 集合場所・時刻、予定ルート、乗換、所要時間、休憩予定、終業予定、予備時間(検査延長・薬局待ちの余裕)。

– 根拠 サービス提供時間は移動・待機を含み算定されるため、時間管理は運営上必須。

想定を超える場合の連絡フローも必要。

– 連絡体制と緊急対応
– 遅延・体調不良・予約変更時の連絡先(病院、事業所、家族)、緊急連絡先、災害・運休時の代替ルート。

– 根拠 安全確保とサービス継続性の観点からの標準的なリスクマネジメント。

– 医療情報とプライバシーの取り扱い
– 診察室で支援者が聞いてよい内容の範囲、代読してよい書類の範囲、内容共有の同意(同席・代読の明示的同意を事前に確認)。

– 根拠 医療・介護関係事業者における個人情報取扱いガイドライン(厚労省)。

本人同意に基づく最小限の共有が原則。

同行援護従業者には守秘義務がある。

– 金銭取り扱いのルール
– 会計時の支払い方法、現金の受け渡しの可否、領収書の受取り・保管方法。

事業所の規程上、従業者が金銭を預かることは原則不可か、例外運用の手順があるかを確認。

– 根拠 同行援護の業務は情報支援・移動援護に限定。

金銭・貴重品管理は原則業務外とする運用が一般的(事故防止・コンプライアンス)。

– 文書の代読・代筆の範囲
– 問診票等の代読・代筆は本人の指示に基づき実施可。

ただし医療同意書・重要な意思決定への署名代行は不可(法的代理権がある成年後見人等を除く)。

– 根拠 同行援護の「代読・代筆」は情報アクセス補助であり、代理意思表示ではない(民法上の代理権の問題)。

– 盲導犬・補助犬の同伴有無
– 盲導犬同伴の場合は病院に事前連絡し、動線・待機スペースの配慮を確認。

– 根拠 身体障害者補助犬法により医療機関は補助犬の受入れ義務あり。

– 服装・持ち物の実務アドバイス
– 歩行しやすい靴、体温調節しやすい服、雨天対策、点字メモや音声メモ手段。

視覚情報の代替としてスマホのアクセシビリティ機能を活用。

4) 当日の出発前〜移動中に確認・伝えること
– 体調確認と最終持ち物チェック
– 発熱・倦怠感がある場合の病院への連絡方針、予約変更手続き。

保険証・手帳・紹介状・お薬手帳・財布の再確認。

– 集合・移動の安全確認
– 誘導方法の再確認(手引きの持ち方、段差・狭所・混雑時の声かけの約束事)。

歩行速度のすり合わせ。

– 交通手段の運用
– 切符購入・改札通過・乗換時の動線案内。

障害者割引の適用(JR等の旅客営業規則に基づく)を活用する場合は手帳提示を支援。

– 予定変更時の即時共有
– 遅延・運休・混雑でルート変更が必要な場合、所要時間の再見積もりと病院・事業所への連絡役割分担。

5) 医療機関到着後に確認・伝えること
– 受付・待合
– 受付窓口への誘導、番号発券、呼出方法の確認(スピーカー音量や呼出表示の読み上げ支援)。

初診時は患者登録・診察券発行の代読・代筆補助。

– 問診票・説明文書の代読・記入補助
– 質問項目の逐次読み上げ、本人の意思に沿った記入補助。

個人情報は周囲に配慮し声量・位置を調整。

– 根拠 同行援護の情報支援の典型業務。

守秘義務・プライバシー配慮が必要。

– 診察・検査同席の確認
– 本人の同意を前提に同席。

医師・スタッフと役割共有(視覚情報の音声化、メモ取り、移動誘導)。

医療的判断や通訳(医学的内容の翻案)は行わない。

– 根拠 同行援護は情報入手の補助であり、医療判断や説明の代替ではない。

誤伝達防止のため「要点の復唱」に留める。

– 会計・院外薬局
– 自動精算機の操作支援(画面読み上げ)、金額の読み上げ、領収書・明細の受取、薬局への誘導、処方説明書の代読支援。

金銭授受は事業所規程に従い慎重に。

– 合理的配慮の依頼
– 呼出しを音声中心に、書面の電子データ提供、足元の案内など、必要な配慮を具体的に依頼。

– 根拠 障害者差別解消法の合理的配慮の考え方に基づく。

6) 終了時の確認・事後連絡
– 次回予約の取得・記録
– 次回予約日時の取得、予約票の代読、スマホや手帳への記入支援。

必要に応じて家族・相談支援専門員への共有同意を確認。

– サービス提供記録の確認・署名
– 開始・終了時刻、提供内容、特記事項を確認し、利用者の署名(サイン)を受ける。

視覚障害に配慮した読み上げ・内容確認を丁寧に実施。

– 根拠 障害福祉サービスの運営基準で求められる記録整備。

– 費用・領収書の整理
– 医療費・交通費・薬代の領収書の管理方法を確認。

必要に応じて自立支援医療や高額療養費制度、自治体の助成制度の案内を検討(制度説明は一般的情報に留め、申請代行は別途手続き)。

– 振り返りと次回改善点
– 動線・待ち時間・情報の聞き取りやすさなどを振り返り、次回に向けての改善点を共有。

7) 境界と留意点(してよいこと/できないこと)
– できること
– 移動の援護(手引き)、周囲状況の言語化、書類・表示の代読、本人の指示に基づく代筆、院内外の案内、公共交通・支払機器の操作支援、合理的配慮の伝達補助。

– できないこと
– 医療行為、医療判断の代行、同意書への代理署名、金銭・貴重品の管理(事業所規程に反する預かり)、自動車の運転、事前同意のない個人情報の第三者提供。

– 根拠 厚労省の運営基準・研修カリキュラムの範囲、民法上の代理権、事業運営上のリスク管理。

8) 根拠の要点(参考となる制度・指針)
– 障害者総合支援法および厚生労働省の「指定同行援護の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
– 同行援護は、視覚障害者に対する「移動時及び外出先における情報支援・移動の援護等」を目的とすること、個別援護計画の作成と適切な記録が求められること等を規定。

– 同行援護従業者養成研修(ガイドライン・テキスト)
– 安全な手引き方法、段差・階段での誘導、代読・代筆の留意点、守秘義務、緊急時対応などを定め、業務範囲と禁止事項の理解を求める。

– 障害者差別解消法
– 医療機関を含む公的性格のある事業者に、過重な負担とならない範囲での合理的配慮提供を求める。

呼出方法や文書情報の代替提供などの配慮を正当化する根拠。

– 身体障害者補助犬法
– 医療機関は補助犬の同伴受入れ義務を負い、同伴を拒めない。

盲導犬利用時の事前周知の意義を裏づける。

– 医療・介護関係事業者における個人情報取扱いガイドライン(厚労省)
– 本人同意に基づく情報共有と、診察室同席時のプライバシー配慮の必要性。

– 選定療養(初診時・再診時の定額負担)
– 紹介状の有無で追加費用がかかる制度的背景。

大病院受診時の事前確認の根拠。

– 公共交通機関の障害者割引(各社旅客営業規則)
– 身体障害者手帳提示による運賃割引の要件と手続き。

最後に、実務上は「誰が・いつ・何を・どの範囲まで」支援するかの合意形成が肝心です。

予約段階で医療機関に同伴の趣旨(視覚情報の補完と安全な移動支援)を明確に伝え、事業所とは時間配分・金銭取扱い・プライバシーの線引きを文書やメッセージで共有しておくと、当日のトラブルが大きく減ります。

同行援護は本人の自立と意思決定を尊重するサービスです。

代読・誘導はあくまで「本人の理解と選択」を支えるための手段であり、その理念に沿って準備・運用すると、医療機関での体験がより安心でスムーズになります。

受付・問診・診察・検査・会計の各場面で、同行援護従業者はどこまで支援できるのか?

以下は、視覚障害のある方が「同行援護」を利用して医療機関(病院・診療所・検査機関・薬局等)に行く際、受付・問診・診察・検査・会計の各場面で同行援護従業者がどこまで支援できるかの実務的な目安と、その根拠・考え方です。

実際の運用は自治体の解釈や医療機関のルール、事業所の内規、サービス等利用計画の内容により異なる場合があります。

最終的には担当相談支援専門員や事業所管理者、医療機関の担当者とすり合わせてください。

受付(初診・再診受付、窓口対応、受付機操作)

– できること
– 案内板・整理券番号・呼び出し表示の代読、音声化されていない表示の読み上げ。

– 受付カウンター・該当診療科・採血室等への誘導、動線の安全確保(段差・ドア・エレベータ等の案内)。

– 自動受付機・自動精算機・再来機の操作補助(本人の指示に基づく画面読み上げ・ボタン押下の支援)。

– 健康保険証、医療受給者証、紹介状、診察券、予約票等の提出・回収補助。

– 受付職員からの口頭説明の聞き取り補助と本人への伝え返し(確認・復唱)。

– 待合場所の確保、呼び出し方式(表示/音声/アプリ)の確認と見守り。

– できないこと・注意
– 本人の同意なく診療内容や個人情報を第三者に提供すること(守秘義務)。

– 本人の意思決定を代替する予約変更・診療科選択等の判断。

– 病院の許可なく録音・撮影を行うこと。

– 根拠・考え方
– 同行援護は「外出時の移動に必要な支援」および「代読・代筆等の情報支援」を中核とするサービス(障害者総合支援法に基づく指定同行援護の事業基準、厚生労働省通知・ガイドライン)。

– 受付での案内・表示の代読や操作補助は「情報支援」に該当。

– 守秘義務は指定基準で明記。

録音・撮影は医療機関の管理権限に服する。

問診・問診票(質問票記入、医療面接までの準備)

– できること
– 問診票・各種同意書・説明文書の代読(項目を正確に読み上げ、用語の読み替えは必要最小限)。

– 本人の口頭による回答をそのまま代筆(推測記入は不可)。

– 服薬リスト・既往歴メモの読み上げや整理、医師に伝えたい事項のメモ化支援(本人の意思に基づく)。

– 受付・看護師との基本的な伝達支援(聞き取りづらい情報の復唱・確認)。

– できないこと・注意
– 本人の署名・同意の代署(法的代理権がない限り不可)。

インフォームド・コンセントへの同意も同様。

– 医療上の説明を独自解釈で要約・改変して伝えること(誤解のリスク)。

不明点はそのまま医療者に確認依頼。

– 病名推定・治療選択の助言など医療判断に踏み込む行為。

– 根拠・考え方
– 代読・代筆は同行援護固有の「情報支援」に該当(厚労省基準・通知の趣旨)。

– 同意・署名の代理は民法上の代理権が必要であり、同行援護自体は代理権を付与しない。

– 医療内容の解釈・助言は医療専門職の領域。

診察(診察室への出入り、医師・看護師とのやり取り同席)

– できること
– 診察室までの誘導、環境説明(椅子の位置、ベッド段差、機器配置など)と転倒予防の見守り。

– 本人の希望と医療側の許可がある場合の同席。

視覚情報の補完(モニター・画像・図の口頭説明の補助)や、説明の聞き取り・復唱・確認の支援。

– 医師に対し、本人大意の補足(見えにくさに伴う困りごと等)を本人の求めに応じて伝える。

– プライバシーに配慮し、本人が同席不要・一時退室を希望する場合は退室。

– できないこと・注意
– 医療行為(バイタル測定の指示出し、処置介助、器具装着等)や診療に介入する行為。

– 医師の説明内容を独断で要約・翻訳して断定的に伝えること(誤伝達)。

不明点は都度医療者に確認。

– 無許可の録音・写真撮影。

病院ルールに従う。

– 根拠・考え方
– 同行援護の中心は移動・情報支援であり、医行為は医師法・保助看法の専門職領域。

– 指定基準には利用者の意思尊重・プライバシー配慮・守秘義務が定められている。

検査(採血・画像検査・生理検査・処置室など)

– できること
– 検査室までの誘導、呼び出し方法・検査手順案内の代読。

– 更衣・検査台への乗降の際の安全確保の声かけや最小限の見守り支援(転倒予防、手すり誘導)。

– 検査前後の注意事項(飲食制限、安静時間等)の代読・確認と、本人が理解できるよう復唱。

– できないこと・注意
– 採血後の止血確認、創処置、検査の補助等の医療行為。

– 医療者の指示に反する介助(例えば体位保持を独断で行う等)。

– 検査結果の解釈・医療的説明の代替。

– 根拠・考え方
– 「外出先での情報支援・移動支援」の範囲での安全配慮と代読は可だが、医療行為は不可。

– 付随的な軽微介助(上着の着脱補助・手荷物管理等)は「外出に必要な援助」の範囲で許容されることが多いが、排泄・食事等の身体介護は原則含まれない(必要時は別サービス種別や事前合意が必要)。

自治体運用に留意。

会計・薬局(支払、領収書、処方箋、服薬説明)

– できること
– 会計番号表示、呼び出しの代読。

自動精算機の操作補助、現金・カード・QR等の支払手続きの支援(本人の指示に基づく)。

– 領収書・診療明細・処方箋・薬剤情報提供書の代読、重要ポイントの確認(自己負担割合、高額療養制度案内の存在等の読み上げ)。

– 薬局までの誘導、受付・待機、薬剤師からの説明の聞き取り補助と復唱。

点字シール・大活字ラベル・一包化等の配慮依頼の伝達支援(本人の意思に基づく)。

– 服薬カレンダー・スマホアプリ等の利用希望があれば、ツールの設定補助(医療的指導は行わない)。

– できないこと・注意
– 同行援護従業者による費用の立替や代理受領を当然業務とすること(事業所内規・事故防止の観点)。

– 処方内容の変更交渉・後発品の選択を本人の意思確認なく決めること。

– 薬の効果・副作用の専門的解説や服薬設計の助言(薬剤師の業務)。

– 根拠・考え方
– 会計・薬局での代読・操作補助は情報支援に該当。

– 金銭や貴重品の取り扱いはトラブル防止のため事業所ごとのルールに従う。

代理受領・立替は同行援護の義務ではない。

横断的な原則(全場面共通)
– 本人の意思決定支援
– 同行援護は本人の自己決定を最大限尊重し、選択肢をわかりやすく提示し、本人の決定に基づき行動する。

勝手な判断や過度の誘導は不可。

– 守秘義務・個人情報保護
– 同行援護従業者は業務上知り得た秘密を保持する義務があり、利用目的外の使用・第三者提供は不可。

記録は事業所の管理下で適切に保管。

– 医療機関の規則遵守
– 同席・録音・撮影・介助範囲は医療機関の同意・許可に従う。

感染対策上の制限がかかる場合がある。

– リスク管理・安全配慮
– 施設内の転倒・迷走リスクに備え、動線確認、環境説明、適切なガイドテクニックを用いる。

体調急変時は速やかに医療者へ引き継ぐ。

– 記録義務
– サービス提供記録(提供時間、提供内容、特記事項)を作成。

トラブル防止のため「どこまで支援したか」「本人の意思確認」を明確化。

根拠となる制度・文書(代表例)
– 法律・省令等
– 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法) 同行援護を位置づける根拠法。

– 厚生労働省令「指定同行援護の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 サービスの目的(視覚障害者に対する外出時の移動支援・代読代筆等の情報支援)、守秘義務、記録等の基本原則を規定。

– 関連通知・ガイドライン(厚生労働省) 同行援護の具体的サービス例、外出先(医療機関含む)での代読・代筆・誘導等が想定されている旨の解釈や留意事項。

– 医師法・医療法・保健師助産師看護師法 医行為の範囲と専門職の独占業務。

同行援護従業者は医療行為を行えない。

– 民法(代理) 同意書・契約の代理は法的代理権が必要。

同行援護自体は代理権を付与しない。

– 研修・質の担保
– 同行援護従業者養成研修(一般・応用) ガイドヘルプ、代読・代筆、コミュニケーション支援、リスク管理等を習得するカリキュラムで、上記の実務を裏づける。

– 地方自治体の実施要綱・Q&A
– 市区町村が示す運用細則・算定Q&Aに、医療機関受診の同行を想定した取扱い(待ち時間の算定、院内誘導、代読等)が示されることが多い。

実務上のコツ(事前・当日・事後)
– 事前
– 予約情報・受診科・持ち物(保険証、受給者証、紹介状、内服リスト、メモ、現金/カード)を整理。

問診票の事前入手・音声化や、代読・代筆の合意を本人と確認。

– 医療機関に「同行者あり・情報支援目的」を事前連絡し、同席可否や配慮事項(呼び出し方法、検査時の待機場所)を確認。

– 当日
– 役割分担(代読は逐語、記載は本人の言葉で、判断は本人)を明確化。

記録は私記ではなく業務記録として簡潔に。

– 金銭・貴重品の取り扱いは本人管理を原則に、操作補助に留める(事業所内規に従う)。

– 事後
– 次回予約・注意事項を再確認し、本人がアクセスしやすい形式(大活字、音声メモ等)に整理。

必要に応じ相談支援専門員へ情報共有(本人同意の範囲)。

よくある境界事例への対応
– トイレ介助や食事介助が必要な場合
– 同行援護は移動・情報支援が中心で、排泄・食事等の身体介護は原則対象外。

外出中に最小限の見守り・衣服の整え程度を行うかは自治体運用・事業所内規で差があるため、事前合意を。

必要なら居宅介護・重度訪問介護等の併用を検討。

– 代理署名・同意
– 原則不可。

どうしても本人が署名困難な場合は、医療機関の定める代替手続(拇印、職員立会い等)を確認。

– 医療説明の録音
– メモ取り・復唱は支援に含まれるが、録音は施設の許可を得る。

許可が得られない場合は要点の復唱・確認で支援。

まとめ
– 受付から会計・薬局まで、同行援護従業者が担う中核は「移動の安全確保」と「視覚情報の代行(代読・代筆・画面操作補助・復唱)」です。

– 医療判断・同意・医行為・金銭の立替等は支援対象外です。

– 根拠は、障害者総合支援法に基づく同行援護の位置づけと、厚生労働省の指定基準・留意事項(目的 移動支援+情報支援、義務 守秘・記録、禁止 代理・医療行為)にあります。

– 運用は自治体・医療機関・事業所の内規による差もあるため、事前の役割確認と当日の許可取りが重要です。

必要であれば、お住まいの自治体名と想定する医療機関の種別(総合病院・クリニック・検査センター・薬局)を教えていただければ、より具体的な運用上の注意点や事前連絡の文面例を作成します。

プライバシー配慮や意思決定の支援、医療情報の読み上げ・説明はどのように行われるのか?

以下は、同行援護を利用して医療機関へ行く際に想定される支援の実際(プライバシー配慮・意思決定の支援・医療情報の読み上げ/説明の方法)と、その根拠についての整理です。

自治体や事業所の運営方針、医療機関の規程で細部が異なる場合がありますが、厚生労働省の運営基準やガイドラインに沿った一般的な実務の流れを具体的に示します。

前提 同行援護の目的と医療場面での基本的な役割

– 目的 視覚障害者が安全かつ主体的に外出し、外出先で必要な情報の取得・理解・意思表明を行えるよう、移動支援と情報支援(代読・代筆等)を提供する。

– 医療機関での位置づけ 医療行為の代行や医学的判断は行わない。

医療者と本人のコミュニケーションが主軸となるよう環境を整え、視覚情報の補完(読み上げ・案内・文字情報の取得支援)と意思決定を助ける。

プライバシー配慮(診療前・診療中・診療後)

– 診療前
– 事前打合せで「同席範囲と情報共有の希望」を確認(例 診察室には入ってほしい/医師説明のときは外で待ってほしい、検査時の同席可否など)。

– 受付や待合での呼出し方法(氏名か番号か)を医療機関に確認・調整。

周囲に聞こえる音量で個人情報を復唱しない。

– 問診票や保険証情報の扱いは本人の指示を受け、不要な第三者への開示を避ける。

– 診療中
– 医師の説明は本人が聞き取りやすい位置関係を確保。

原則として医師は本人に直接話し、同行援護従業者は必要な補助を最小限に行う。

– 本人が希望しない限り、病状や家族歴などセンシティブな事項を代わって話さない。

医師から同行者へ説明を求められた場合も、まず本人に確認をとる。

– 身体に触れる検査の場合、同席の要否を本人に都度確認。

羞恥心に配慮し、カーテン内に入らないなど距離感を調整。

– 診療後
– 会計や薬局での処方内容・金額などの読み上げは周囲に配慮して実施。

読み上げの声量・場所を調整。

– 記録の取り扱いは最小限・目的限定。

帰路での会話でも個人情報を不必要に反復しない。

– 事業所の記録は、法令と運営基準に沿って保管・廃棄。

個人特定情報は外部に持ち出さない。

意思決定の支援(本人中心・選択肢提示・合意形成)

– 基本原則
– 本人の意思決定を中心に据える。

代行決定や誘導的助言は避ける。

– 医療者の説明を本人が理解できる形に変換し、本人が質問・選択できるよう支援する。

– 合理的配慮の要請(説明資料の読み上げ、図表の言語化、時間確保など)を医療機関に依頼することができる。

– 具体的な手順
– 事前準備 受診目的・困りごと・聞きたいこと(例 治療の選択肢、副作用、費用)を箇条書きで可視化。

必要なら質問メモの代筆を行う。

– 医師説明時 選択肢、効果・リスク、期間、費用、生活への影響など「意思決定に不可欠な要素」をもれなく聞き取り、本人に確認しながら要点整理。

要約を求められた場合でも、意味を変えない範囲で簡潔に反復。

– 質問の支援 本人が口頭で伝えにくい場合は、事前メモを代読。

説明が不十分に感じられる時は、本人に確認の上で「もう一度ゆっくり説明していただけますか」などと促す。

– 同意書 内容を逐語的に近い形で読み上げ、重要語句(目的、方法、合併症、撤回権、費用)を明確化。

本人が理解・納得したうえで署名困難な場合は、本人の指示に基づく代筆を行うが、署名欄の規程(自署必須等)は医療機関に確認。

– 決定保留の権利 その場で決めない選択も尊重。

再診予約や家族と相談する時間の確保などを医療機関と調整。

– NG例
– 「この治療が良いですよ」など価値判断の提示や誘導。

– 医療者の説明を独自に翻案・解釈して断定的に伝える行為。

– 本人の不在時に治療方針を事実上決める交渉。

医療情報の読み上げ・説明の方法(実務)

– 基本姿勢
– 正確・中立・逐語寄りを原則にし、要約は本人の同意を得てから。

専門用語はそのまま読み上げた上で、医学的解釈は医師に確認を促す。

– 対象文書と方法
– 受付票・保険証情報・紹介状の封筒記載 項目名→内容の順に読み上げ。

固有名詞・番号・日時は復唱確認。

– 問診票 全設問を順番に読み上げ、選択肢も一つずつ提示。

自由記載は本人の言葉を尊重して代筆。

– 検査説明書・同意書 目的、手順、所要時間、注意事項、リスク・副作用、連絡先を見出しごとに読み上げ。

数値(確率・測定値)は誤読防止のためゆっくり確認。

– 処方箋・お薬説明 薬品名(一般名・製品名)、用量、回数、タイミング、注意、相互作用に関する記載を順に。

難読名詞はスペルアウトや音節区切りで確認。

「自己判断での増減は不可」等の注意事項は強調。

– 技術的工夫
– 読み上げに合わせて重要箇所に一時停止を入れ、理解度を随時確認(Teach-back 本人に要点を短く言い直してもらう)。

– 点字版や拡大文字、音声データ化の希望があれば、医療機関の同意のもと資料をスキャンして読み上げアプリを活用(機微情報の取扱いに留意)。

– 録音は原則として本人と医療機関双方の許可が必要。

許可がない場合はメモ代筆に留める。

– 限界と連携
– 医学的な解釈、治療選択の推奨は行わない。

疑義があれば医師・薬剤師にその場で確認。

– 言語通訳が必要な場合は、同行援護とは別に医療通訳の手配を案内。

受診場面の流れ別の支援例

– 移動・院内案内 安全誘導、フロア・階段・ドアの情報提供、受付機の操作補助、順番・待ち時間の読み上げ。

– 受付 保険証・医療証の取り扱い補助、受付票の代筆、番号札・発券の整理。

– 診察 医師の発言を遮らない位置取り、本人の質問の代読支援、説明の聞き取り・確認、私語や私見は控える。

– 検査 検査室までの誘導、注意事項の読み上げ、検査同意書の代読・代筆、同席の可否確認。

– 会計・薬局 金額・領収書・次回予約票・お薬手帳の記載内容を読み上げ、支払い操作の補助(本人の指示の範囲で)。

院外薬局の場所案内、服薬指導の聞き取り補助。

– 帰宅後 次回予約、行き方や持ち物リストの作成補助、医療機関からの文書の整理と保管支援(本人管理を基本)。

お金・署名・記録に関する留意

– 金銭の取り扱い 原則として金銭管理の代行は行わず、本人の指示の下で支払い操作を補助。

立替は事業所の規程に従い慎重に。

– 署名 自署が困難で代筆を求められた場合でも、医療機関の規程(自署必須・押印・拇印等)を確認。

代筆は本人の明確な指示・同意の下で行い、代筆者欄がある場合は記載。

– 記録 事業所内記録は最小限・目的限定で保管。

本人の同意なく第三者に提供しない。

実務を支える主な根拠(法令・基準・ガイドライン)

– 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(いわゆる障害者総合支援法)
– 同行援護を位置づける基幹法。

本人の意思の尊重、地域での自立と社会参加の促進を基本理念としており、医療受診への外出支援・情報支援の対象性を根拠づける。

– 指定障害福祉サービス等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)
– 指定同行援護の人員・運営基準が定められ、従業者の守秘義務、個人情報の適切管理、サービス提供記録、利用者の意思尊重・虐待防止等が規定される。

– 同行援護従業者養成研修カリキュラム(厚生労働省通知)
– 視覚的情報支援、移動の介助、安全確保、代読・代筆、プライバシー保護、コミュニケーション支援の到達目標が示され、医療機関等での場面別支援が含まれる。

– 障害者差別解消法(不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供)
– 医療機関を含む行政機関・事業者に対し、合理的配慮(読み上げ支援・時間配分の調整・わかりやすい説明等)の提供を求める規範。

同行援護は合理的配慮の実現を補助する役割を担う。

– 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)
– 同行援護事業所における利用者情報の取扱い、目的外利用禁止、漏えい防止等の一般原則を定める。

運営基準と合わせて守秘義務の法的根拠となる。

– 医療法・医師法等に基づくインフォームド・コンセント関連の指針
– 医療提供者には説明義務と患者の自己決定権の尊重が課される。

同行援護は、この説明・決定プロセスを視覚情報面で支える位置づけ。

医学的説明の主体はあくまで医療者であることの根拠となる。

– 障害福祉サービス等における意思決定支援ガイドライン(厚生労働省)
– 本人の最善の利益と意思の尊重を両立させるための具体的手順(選択肢の提示、情報提供の工夫、合意形成の進め方)が示され、医療場面でも援用される。

– 自治体要綱・運営指導通知
– サービス提供範囲(代読・代筆・金銭補助の可否・立替等)、医療機関内での行動指針に関するローカルルール。

利用地域の最新通知を確認する。

事前に伝えておくとスムーズになる事項(利用者側のヒント)

– 診察室への同席可否、説明の読み上げの希望レベル(逐語/要点)、声量の希望、録音の可否(医療機関に確認前提)、検査時の同席の可否。

– 代筆の範囲(問診票、同意書)、支払い補助の方法(現金/キャッシュレス)、個人情報の取り扱い(持ち帰る資料の扱い)。

– 服薬中の薬とアレルギー情報(お薬手帳の読み込み方の希望)、事前質問リスト。

よくある質問への短答

– 医療内容の解釈や治療の推奨はしてもらえる?
→ いいえ。

医療判断は医師等が行い、同行援護は情報取得と理解支援、質問の支援に留まります。

– 同意書に代わりにサインしてもらえる?
→ 自署が困難で、医療機関の規程が認める場合に限り、本人の明確な指示に基づく代筆は可能。

最終判断は医療機関の規程次第。

– 会計や薬局でお金を預けて支払い代行は?
→ 原則は本人の指示下での補助に留め、代行・立替は事業所規程に依存。

事前確認が必要。

まとめ
– 同行援護は、医療受診での「視覚情報の壁」を取り除き、本人の意思決定を支えるための伴走者です。

プライバシーは「情報の最小化」「同席範囲の事前合意」「守秘義務の徹底」で守り、意思決定は「本人中心」「中立的情報提供」「質問支援」「決定保留の権利の確保」で支えます。

医療情報の読み上げは「正確・逐語寄り・確認重視」を基本に、専門的解釈は医療者に橋渡しします。

運用の根拠は、障害者総合支援法と省令の運営基準、意思決定支援ガイドライン、個人情報保護法、障害者差別解消法等に裏付けられています。

実施にあたっては、事業所と医療機関のルールも事前に確認しておくと安心です。

費用や支給量の扱い、緊急時や急な受診時の利用はどうすればよいのか?

以下は、視覚障害者向けの障害福祉サービスである「同行援護」を利用して医療機関へ受診する場面に焦点を当て、費用や支給量(使える時間数)の考え方、急な受診や緊急時の使い方、そしてそれらの根拠を整理した解説です。

実務は自治体のローカル運用に影響される部分もあるため、最終的にはお住まいの市区町村・相談支援専門員・利用中の事業所での確認を併せて行ってください。

同行援護で医療機関に行くときにできる支援

– 対象となる支援の例
– 自宅から病院までの安全な移動の支援(歩行・乗車の誘導、乗降時の見守り)
– 病院内での受付・会計・院内移動の支援
– 医師や看護師からの説明の音声情報化や代読、書類の代筆補助(本人の意思確認を前提)
– 服薬指導などの説明内容の聞き取り補助(記録の代読を含む)
– 付き添い中の必要な情報提供・コミュニケーション支援
– できないこと(禁止・非該当となりやすい例)
– 医療行為(血圧測定や投薬など)や医療的判断の代行
– 利用者本人の意思決定の代行(手術同意などを勝手に署名することは不可)
– ヘルパーの自家用車で送迎(自治体の認可や保険体制が整わない限り原則不可)
– 私用の買い物など、受診に直接必要でない行為の長時間実施

根拠の概要 同行援護は障害者総合支援法に基づく自立支援給付の一つで、視覚障害に特化して「移動の支援+情報・意思疎通の支援」を包括的に行えるよう省令(指定基準)と通知で定義されています。

病院受診は日常生活に不可欠な外出として想定されており、院内での代読・案内等は「情報支援」に該当します。

費用の考え方(自己負担、実費、キャンセル等)

– 自己負担(利用者負担) 原則1割負担。

ただし世帯所得に応じた「負担上限月額」が設定され、上限を超える額は負担しません。

低所得世帯は0円~のケースもあります。

これは障害者総合支援法の自立支援給付の一般原則です。

– 運賃等の実費 公共交通機関の運賃、タクシー代、駐車場代、院内で必要な書類の発行料など、サービスの対価とは別に「通常事業の実施に伴い必要となる費用」は、本人の事前同意のもと実費徴収が可能とされます。

同行する従業者の交通費(乗車賃)も実費対象として扱われるのが一般的です。

– タクシー利用の可否 本人の安全や効率性の観点から計画に位置づけられていれば可。

料金は本人負担(自治体独自の助成制度がある場合はその対象となることも)。

– 自家用車の送迎 安全・保険・運賃収受に関する制度上の課題があるため原則不可。

事業所車両での送迎についても、自治体の取り扱い(有償運送の可否等)に左右されます。

– キャンセル料 国の基準では、サービス対価としてのキャンセル料は原則徴収できませんが、実費(既に発生した交通機関の予約取消料など)については、本人の事前同意があれば徴収可能と整理されています。

事業所の利用契約書を確認してください。

根拠の概要 費用負担は障害者総合支援法および「指定同行援護の人員、設備及び運営に関する基準」(基準省令)や報酬・実費徴収に関する厚労省通知・Q&Aで整理。

1割負担と上限月額は自立支援給付全般のルール、実費徴収は基準省令に規定。

支給量(使える時間数)の考え方とカウント

– 支給量は「受給者証」に月間の上限時間数として決定され、相談支援専門員の「サービス等利用計画」、事業所の「個別支援計画」に沿って配分されます。

病院受診の頻度・待ち時間・移動距離・必要な情報支援の程度などを踏まえて見込み時間を設定します。

– 時間のカウント方法 自宅出発から帰宅までの連続した時間が基本。

移動・待ち時間・院内の付き添い・会計までを含みます。

病院は待ち時間が長くなりがちなので、余裕を見た見積りが必要です。

– 月内のやりくり 計画的な受診が多い場合は事前にシフトを組み、月内で時間調整します。

超過しそうな場合は、相談支援専門員を通じて自治体に支給量変更の申請を行います。

根拠の概要 支給決定・計画・モニタリングの流れは障害者総合支援法の支給決定事務取扱い(厚労省通知・要領)に基づきます。

同行援護の算定単位は時間区分で、提供開始から終了までが算定対象である旨は報酬告示・Q&Aで明示されています。

急な受診・緊急時の利用方法

– 急な体調不良で受診が必要になった場合の基本フロー
1) 命の危険や重篤が疑われる場合は119番へ。

迷う時は地域の救急相談窓口(例 #7119)も活用。

2) 同時並行で、利用中の同行援護事業所へ連絡。

事業所の人員状況により当日の手配可否が変わります。

3) 受診先・集合場所・必要物(受給者証、保険証、お薬手帳、紹介状など)を共有。

可能なら家族やキーパーソンにも連絡。

– 救急搬送時の付き添い
– 救急隊の許可があれば、同行援護従業者が同乗し、病院到着後の情報支援・院内誘導を行うことは実務上あります。

ただし医療行為の補助は不可。

夜間・休日に応じられるかは事業所の体制次第で、常時対応が制度義務というわけではありません。

– 予定外利用の算定と手続き
– 原則は「受給者証の支給量の範囲内」で柔軟に振り替えて対応します。

月間上限を超える場合は、やむを得ない事情として「事後の支給量変更」を申請できる運用が自治体実務上あります(災害や急病等の緊急性が認められる場合)。

事業所と相談支援専門員が事後報告・根拠資料(記録)を整えます。

– 繰り返し緊急受診が生じる見込みがある場合は、次月以降の支給量を増やす、夜間・休日対応可能な事業所へ委託範囲を広げる、通院先の予約・タイムマネジメントを見直す等の計画調整を検討。

– 病院での長時間待機・夜間付き添い
– 救急外来での長時間待機は同行援護の対象となり得ますが、病棟での宿泊付き添い(病室内での泊まり込み)は制度趣旨外とされることが多く、家族等への引継ぎや病院側の付き添い体制と調整します。

根拠の概要 緊急対応や予定外の利用に関する細目は通知・Q&A(報酬・基準の運用通知)に委ねられ、自治体裁量が大きい領域です。

算定はあくまで「支給量の範囲内」が原則で、やむを得ない事後変更が可能とされる運用が一般的です。

救急車同乗の可否は消防側の判断に従います。

介護保険との関係(65歳以上等の場合)

– 原則(優先原則) 介護保険で同種・類似のサービスが提供可能な場合は、介護保険を優先適用。

通院の「玄関から目的地までの移送・乗降の介助」は介護保険の「通院等乗降介助」でカバーされるため、重複算定は不可。

– 同行援護が適する場面 視覚障害に伴う「院内での情報支援・誘導・代読代筆」など、介護保険では十分に担保されない支援については、障害福祉(同行援護)を併用できると整理されています。

実際の切り分けは自治体の給付調整で決まるため、計画段階で相談支援専門員とケアマネジャーが連携します。

– 実務上の整理例 自宅~病院玄関の移動は介護保険の通院等乗降介助、病院内の案内・説明の代読・会計までを同行援護、といった併用の設計。

ただし、自治体によっては一体的にどちらかで運用する方が適切と判断する場合もあります。

根拠の概要 介護保険優先原則は厚労省の合同通知(介護保険と障害福祉の適用関係に関する通知群)で明確化。

重複算定は不可、ただし制度のカバー範囲が異なる部分は併用可能とされています。

具体的な利用のコツ

– 計画の段階で、定期受診の曜日・時間帯・想定待ち時間、移動手段(公共交通かタクシーか)、必要な情報支援の内容(代読が多い、検査室までの誘導が必要など)を洗い出し、月間の支給量をやや多めに見積もる。

– 急な受診に備え、事業所と「緊急連絡の手順」「夜間・休日対応の可否」「代替事業所の連携(バックアップ)」を取り決める。

– 費用負担の内訳(1割負担、上限月額、従業者交通費の実費、タクシー代など)を事前に書面で確認し、領収書を保管する。

– 介護保険対象者は、ケアマネと相談支援専門員の合同会議で適用関係を明確化し、重複や抜けがないようにする。

主な根拠(法令・基準・通知の例)

– 障害者総合支援法(平成17年法律第123号)
– 自立支援給付の枠組み、利用者負担(1割と負担上限月額)の規定
– 指定同行援護の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)
– サービス内容(移動支援と情報支援)、記録、利用者からの実費徴収の範囲、運営体制 等
– 障害福祉サービス等の報酬に関する基準(厚生労働省告示)および関係通知・Q&A
– 算定の単位・時間の考え方、加算の要件、院内での支援の可否に関する運用解釈 等
– 障害者総合支援法に基づく支給決定事務取扱要領・運用通知
– 支給量(受給者証)の決定・変更、やむを得ない事由による事後変更の扱い 等
– 介護保険と障害福祉の適用関係に関する厚労省合同通知
– 介護保険優先原則、重複算定の禁止、機能の違いに応じた併用の整理(例 2009年3月31日付の老健・障害部局連名通知 等)
– 実費徴収に関する留意事項の通知・Q&A
– 公共交通機関運賃、タクシー代、入場料等の「通常要する費用」について、事前同意の上での実費徴収を可とする旨

最後に
– 同行援護は、視覚障害特性に即した「移動+情報支援」を医療受診の場面でも包括的に使える制度です。

費用は原則1割負担で、運賃等は実費。

利用時間は受給者証の支給量内で運用し、急な受診は可能な範囲で振り替え対応、超過見込み時は事後の変更申請を検討します。

介護保険該当者は適用関係の整理が必要です。

– 実務は自治体通知や事業所の体制で差が出ます。

具体的な運賃の扱い、タクシー利用、夜間対応、救急同乗の記録・算定、キャンセル時の実費など、個別の条件は、事前に「相談支援専門員」「同行援護事業所」「市区町村の障害福祉窓口」に確認することを強くおすすめします。

【要約】
視覚障害者の通院時に同行援護は、移動誘導、掲示・書類の代読や代筆などの情報支援、コミュニケーション支援、外出に伴う最小限の身体介助を一体的に提供。自宅〜受付・診察・会計・薬局〜帰宅まで幅広く支援。医療行為や同意の代理は不可。原則1対1で、安全配慮や費用・電話代行・同席可否は自治体や医療機関の運用に従う。