「移動支援」と「同行援護」は具体的に何が違うの?
結論だけ先にまとめると、移動支援は「自治体が実施する外出支援の総称(ガイドヘルプ)で、対象障害や内容・上限は自治体裁量が大きいサービス」、同行援護は「視覚障害のある人に特化し、移動の安全確保だけでなく情報取得(代読・代筆等)まで含めた、国の給付として標準化されたサービス」です。
似ているように見えて、目的・対象・根拠規程・事業者要件・報酬や運用の標準化の度合いが違います。
1) 制度の位置づけと法的根拠の違い
– 同行援護
– 障害者総合支援法に基づく「自立支援給付(障害福祉サービス)」の一つ。
– 市町村が支給決定を行い、障害福祉サービス受給者証に支給量(時間数等)が明記されます。
– 報酬単価や算定ルールは国(厚生労働省)の告示・通知で全国一律の枠組みが整備されています。
– 提供できるのは「指定同行援護事業者」で、従業者は所定の「同行援護従業者養成研修(一般・応用課程)」修了が原則。
– 移動支援
– 同じく障害者総合支援法の枠内ですが、「地域生活支援事業」のメニューの一つ。
自治体事業で、設計や運用は各市区町村の裁量が大きい。
– 利用決定や支給量の上限、対象外となる外出目的、報酬水準などは自治体の実施要綱で定められます(全国で共通ではない)。
– 事業者要件・従業者研修(いわゆるガイドヘルパー研修)も自治体の基準に委ねられる部分が多い。
2) 対象者の違い
– 同行援護
– 対象は主に視覚障害により「単独での移動や情報取得が著しく困難」な人。
見え方の程度に応じた客観的な困難性が前提。
– 視覚情報の取得や状況判断への支援が不可欠な外出に広く対応します。
– 移動支援
– 身体・知的・精神・発達など幅広い障害種別を対象に、単独外出が難しい人の社会参加や余暇活動等の外出を支援。
– ただし多くの自治体で「視覚障害で同行援護の対象となる人は移動支援の対象から除外」または「重複は原則不可」とされます(役割分担のため)。
3) サービス内容の違い(何をしてくれるか)
– 同行援護
– 安全な歩行・乗降介助、ルート選定、乗換え・運賃精算、施設での案内などの移動支援に加え、情報支援が特徴。
– 情報支援とは、掲示・書類・メニュー等の代読、記入の代筆、音声・触覚を用いた状況説明、コミュニケーション支援等。
視覚障害特有のニーズに対応。
– 外出先で必要な最小限の介護(トイレ・食事の介助)も含まれます。
– 移動支援
– 主として外出時の付き添い・移動介助・見守り。
買い物、余暇活動、地域行事参加などの「社会生活上必要な外出」を広くカバー。
– 代読・代筆等の専門的な情報支援は前提としていない(実施要綱で限定的に認める自治体もあるが、制度趣旨としては同行援護の領域)。
4) 適用範囲・使える目的の違い
– 両者ともに「通勤・通学等の恒常的な移動」は原則対象外(別制度の検討領域)。
また医療的な付き添いそのものは「通院等介助(居宅介護)」の範囲となることが多い。
– 同行援護は、視覚障害ゆえに単独では困難な公的手続、金融機関、病院、役所、初めての場所など「情報取得・判断」が必要な場面で強み。
– 移動支援は、休日の外出、地域サークル、スポーツ観戦、買い物などの社会参加・余暇の外出を広くカバー。
ただし細かな対象範囲は自治体差があり、通院を含める/含めない、通年イベントの扱いなど運用が分かれます。
5) 申請から利用までの流れ
– 同行援護
– 市区町村の障害福祉窓口に申請→必要に応じて障害支援区分やニーズの聞き取り→支給決定→受給者証交付→指定同行援護事業所と契約→サービス提供。
– 計画相談支援(サービス等利用計画)の作成を求められるのが一般的。
– 移動支援
– 自治体の地域生活支援事業担当に申請→自治体の基準に基づき支給量等が決定→利用開始。
計画相談の要否や上限時間は自治体ごとに異なります。
6) 人材要件と質の担保
– 同行援護は、従業者に国の標準カリキュラムによる研修修了が求められ、視覚障害特性に即した高度な情報支援・安全誘導の技能を担保。
– 移動支援は、自治体指定のガイドヘルパー研修(全身性・知的・視覚等の区分がある場合も)で基準が設けられるが、全国一律ではありません。
7) 費用負担と交通費
– 両者とも原則1割負担(所得に応じた月額上限あり)。
生活保護・低所得世帯は自己負担なし/軽減の場合があります。
– 利用者とヘルパーの交通費等の実費は、原則として利用者負担(自治体や事業所の取扱いで差異あり)。
同行援護は運賃・誘導上の必要経費の扱いが通知等で整理されています。
8) 具体例でみる使い分け
– 例1 全盲のAさんが区役所で手続きと書類記入、銀行での手続きを行う
→ 視覚情報の代読・代筆、窓口でのコミュニケーション支援が必須。
同行援護が適切。
– 例2 知的障害のあるBさんが休日に映画館とショッピングモールへ行く
→ 社会参加・余暇の外出であり、見守り・移動介助中心。
移動支援が基本。
– 例3 弱視のCさんが初めての病院へ受診に行く
→ ルート案内、院内誘導、掲示・書類の代読などが必要。
同行援護が適切(自治体によっては通院等介助との整理がなされているため窓口で確認)。
– 例4 自閉スペクトラム症のDさんが地域のクラブ活動に参加
→ 活動中の見守りと移動付き添い。
移動支援が一般的。
問題行動や危険回避のための高度な支援が恒常的に必要なら、別制度の行動援護を検討。
9) よくある誤解の整理
– 「視覚障害があれば移動支援でもよい」は誤り。
視覚障害に伴う情報支援が必要な外出は同行援護が本来の想定です。
– 「同行援護は移動だけで、書類の読み上げは不可」も誤り。
同行援護の中核は移動+情報支援です。
– 「移動支援の内容や上限は全国共通」ではありません。
自治体の実施要綱次第で大きく異なります。
10) 実務上の選び方のコツ
– 視覚障害のある方で、掲示・書類の読み取り、経路判断、状況説明が必要な場面が多い場合は同行援護を第一選択に。
– 視覚以外の障害で、主として見守り・移動介助・社会参加促進が目的なら移動支援を検討。
– 通常的な通勤・通学の送り迎え、医療行為の介助などは両者の対象外となることが多いので、他制度(通院等介助、通学支援、公共交通の福祉的割引や地域交通施策等)も含めて相談支援専門員と組み立てるのが安全です。
根拠(法令・通知・制度資料の出典)
– 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)
– 同行援護を含む障害福祉サービスの法的根拠。
市町村給付・受給者証・自己負担等の基本枠組みを規定。
– 障害福祉サービス等報酬に関する告示・厚生労働省通知
– 同行援護のサービス定義(外出時における移動に必要な介助、代読・代筆等の情報支援を含む)、算定要件、加算、早朝夜間の取扱い等を全国統一で規定。
– 地域生活支援事業実施要綱(厚生労働省通知)
– 移動支援(ガイドヘルプ)を地域生活支援事業の一メニューとして位置づけ。
対象、目的、自治体裁量(対象外の外出、上限設定、事業者基準)の枠組みを示す。
– 同行援護従業者養成研修カリキュラム(厚労省策定)
– 視覚障害特性、安全誘導、情報支援(代読・代筆・状況説明等)の技術を標準化。
– 自治体の移動支援実施要綱
– 各市区町村が独自に定める運用。
対象者、支給量、利用目的の可否(通院・通勤・通学・冠婚葬祭等の扱い)、利用料、交通費の負担方法などを規定。
最後に実務的なお願い
– 移動支援は自治体差が極めて大きく、同じ外出でもA市では対象・B市では対象外ということが起こり得ます。
必ずお住まいの市区町村(障害福祉課・地域生活支援事業担当)で最新の実施要綱と運用(Q&A)をご確認ください。
– 視覚障害のある方は、同行援護の方がニーズに適合しやすく、時間設定や研修要件も安定しています。
まずは同行援護の支給決定を目指し、余暇的外出の拡充が必要なら、自治体と調整しつつ移動支援の併用可否を相談支援専門員と検討するとスムーズです。
このように、両者は「誰に」「どの目的で」「どの範囲まで」支援するか、そして「どの法的仕組みで運用されるか」が異なります。
日々の外出の内容と必要な支援の質(特に情報支援の要否)を軸に、適切な制度を選ぶことが重要です。
対象者や障害種別・認定要件はどう異なるの?
要点だけ先に
– 移動支援は、市町村が行う地域生活支援事業。
対象や回数・使える場面を自治体が定める「ローカルルール色」が強い外出支援。
– 同行援護は、視覚障害に特化した国の障害福祉サービス(自立支援給付)。
専門研修を修了した従業者が、移動介助に加えて情報支援(代筆・代読等)まで一体的に行う。
– 対象者や認定要件は大きく異なる。
同行援護は視覚障害に伴う単独外出困難性が中心。
移動支援は障害種別を広く含み、自治体基準で柔軟に運用される。
制度の位置づけの違い
– 移動支援
– 障害者総合支援法に基づく「地域生活支援事業(市町村事業)」のメニューの一つ。
– 事業の中身(対象者の範囲、支給量、対象となる外出の種類、自己負担の軽減など)を市町村が要綱等で具体化。
全国一律ではなく自治体差が大きい。
– 現場では「ガイドヘルプ(移動介護)」と呼ばれることも多い。
同行援護
同法に基づく「障害福祉サービス(自立支援給付)」の一つ。
全国で共通のサービス枠組み・人員基準・報酬体系が国の省令・告示で定められている。
サービス提供者は「指定同行援護事業所」として都道府県等から指定を受け、従業者は国の定める「同行援護従業者養成研修(基礎・応用)」を修了していることが要件。
対象者・障害種別の違い
– 移動支援(広い)
– 対象者 自治体要綱で「単独での外出が困難な障害者(児)」等とされることが多く、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病等、幅広い。
– 年齢 障害児(未就学・就学児・高校生相当)を含め対象とする自治体が一般的。
成人も対象。
– 障害特性 行動上の課題が強い人(迷子になりやすい、事故リスクが高い等)、対人不安が強い人、道順や交通の理解が難しい人など、移動に伴う支援ニーズがあれば対象とされやすい。
– ただし、視覚障害で高度な情報支援が必要な人は、自治体でも同行援護の利用を優先・併用とする運用が多い。
同行援護(特化)
対象者 視覚障害により単独での外出が著しく困難な人が中心。
視覚障害単独または他障害との重複(例 盲ろう)を含む。
年齢 原則として「障害者」(成人)向けサービス。
視覚障害のある児童に類似の支援が必要な場合は、市町村の移動支援で対応するのが一般的。
特徴 移動介助に限らず、周囲状況の説明や読み上げ、代読・代筆など「情報取得の支援」を一体的に提供できる点が核心。
視覚障害の特性に合わせ、危険回避と情報保障を専門的に行う。
認定要件・手続きの違い
– 移動支援
– 申請先は市町村。
自治体の聞き取り・アセスメントに基づき支給決定(受給者証の交付)を行う。
– 多くの自治体では、障害者手帳(身体・療育・精神)や医師の診断書、相談支援専門員の所見等を踏まえて「単独外出の困難性」「支援の必要性」を判断。
– 障害支援区分の認定を必須としない運用が一般的(地域生活支援事業のため)。
支給量・対象外の範囲・同行の可否等は自治体ごとに明確なローカル基準がある。
同行援護
申請は市町村。
障害福祉サービスの給付手続に則り、相談支援専門員がサービス等利用計画(または簡素化した意見書)を作成し、審査・支給決定。
認定の要点は「視覚障害の程度」「移動に伴う危険回避の困難」「情報取得の困難(代読・代筆等の必要性)」。
障害支援区分の扱いは自治体運用に差があるが、同行援護は視覚障害特化サービスであり、区分よりも視覚障害由来のニーズの有無が重視されることが多い。
受給者証に「月○時間」等の支給量が記載され、報酬・加算は国基準に基づき算定される。
サービス内容・専門性の違い
– 移動支援
– 典型 余暇・社会参加の外出支援(買い物、余暇活動、公共交通の利用練習、地域イベント等)。
通院や通学・通勤の継続的付添は対象外とする自治体もある。
– 従業者の要件は自治体の要綱に委ねられ、旧ガイドヘルパー研修修了や障害福祉経験などを要件とする運用が多い。
専門性の水準は自治体間・事業所間で差が出やすい。
同行援護
典型 移動時の見守り・誘導、危険回避、公共交通の乗降介助、視覚情報の音声化(周囲状況の説明、案内表示の読み上げ)、書類の代読・代筆、買い物時の商品の情報提供など。
提供者は「同行援護従業者養成研修」を修了。
視覚障害特性に即した誘導・情報支援の技術を習得していることが要件。
家事援助は含まれない。
移動に付随する範囲の支援(例 外出先での手続代行や情報提供)は対象。
利用できる場面と対象外の代表例(傾向)
– 移動支援
– 使える例 余暇外出、地域活動、買い物、散歩、公共交通の練習など。
自治体によっては通院付添も可。
– 対象外となりがち 通勤・通学の恒常的付添、家事代行、医療機関内の診療補助。
長時間・長距離・宿泊を伴う外出は事前許可や回数制限が設けられることが多い。
同行援護
使える例 通院、役所手続、銀行・郵便局、買い物、文化・社会参加、初めての経路の開拓、必要な代読・代筆。
対象外になりがち 事業所内での家事援助、雇用主が負うべき業務上の合理的配慮(通勤付添など)は原則別枠。
長期旅行等は支給量の範囲内で個別判断。
費用負担・支給量の違い
– 移動支援
– 自己負担は原則1割。
ただし地域生活支援事業は自治体裁量で減免・上限設定が行われることがあり、全国一律ではない。
– 支給量・回数・1回あたりの上限時間は自治体の要綱で規定(例 月○回、1回○時間まで 等)。
同行援護
自己負担は原則1割。
世帯所得に応じた月額負担上限(負担上限月額)が適用される全国共通の仕組み。
支給量は個別アセスメントに基づき市町村が決定。
報酬は国の告示単位で算定。
よくある組み合わせ・隣接サービスとの関係
– 視覚障害が主で情報支援が要る場合は同行援護を中核に、余暇外出の回数を増やしたいとき等に移動支援を補完的に使う、といった併用が見られます(自治体の許容範囲内)。
– 知的・精神で行動上の課題が強い場合は、移動支援に加え「行動援護(自立支援給付)」が適することも。
– 重い肢体不自由で移動から日常生活全般に24時間的な支援が必要なら「重度訪問介護」等が中心になり、外出時の介助はその枠で賄うこともあります。
– 盲ろうの方は、移動の安全・誘導は同行援護、コミュニケーション(手話・点字等)は「意思疎通支援事業(地域生活支援事業)」を併用するのが一般的。
根拠(法令・通知等)
– 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(いわゆる障害者総合支援法)
– 同法において、障害福祉サービス(自立支援給付)と地域生活支援事業の枠組みが規定される。
– 同法施行規則(厚生労働省令)
– サービスの内容・手続の詳細を規定。
同行援護の位置づけ・内容に関する根拠が含まれる。
– 指定同行援護事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)
– 事業所の人員配置、従業者資格(同行援護従業者養成研修)、運営基準を全国一律で規定。
– 障害福祉サービス等報酬に関する告示・通知(厚生労働省)
– 同行援護の算定単位、加算、運用上の留意点。
– 地域生活支援事業の実施に関する通知・要綱(厚生労働省)
– 市町村が行う地域生活支援事業の枠組み・財政・実施メニュー(移動支援、意思疎通支援、地域活動支援センター等)。
移動支援の目的、対象、事業設計の考え方が示される。
– 各市区町村の地域生活支援事業実施要綱
– 移動支援の具体的な対象者要件、対象外行為、支給量、自己負担軽減、事業者・従業者要件など、実務運用の根拠。
まとめ(違いの核心)
– 対象者の違い
– 移動支援 障害種別は広く、児童も対象にできる。
単独外出困難性があれば自治体基準で支援。
– 同行援護 視覚障害に特化。
成人向け。
危険回避と情報支援の専門性が要件。
認定要件・プロセスの違い
移動支援 自治体要綱ベース。
区分認定は必須でないことが多く、柔軟だが自治体差が大きい。
同行援護 障害福祉サービスとして全国共通の基準。
視覚障害に伴う移動・情報取得ニーズの有無を中心に支給決定。
サービスの中身と専門性
移動支援 余暇や社会参加の外出支援が中心。
専門性の程度は自治体・事業所に依存。
同行援護 視覚障害者の外出支援+情報保障を一体的に提供。
従業者の専門研修が必須。
実務的な確認ポイント
– お住まいの市区町村の「地域生活支援事業実施要綱(移動支援)」を確認。
対象者、対象外の範囲、回数・時間の上限、通院・通学・宿泊可否、自己負担の扱いは自治体ごとに違います。
– 視覚障害があり、代読・代筆や状況説明といった情報支援が必要なら、同行援護をまず相談。
相談支援専門員(計画相談)にアセスメントと計画作成を依頼するとスムーズです。
– 児童について視覚障害に類する支援が必要な場合は、同行援護ではなく移動支援や通所系サービス、学校等の合理的配慮の組み合わせで検討するのが一般的です。
– 行動障害や発達障害で外出時のリスクが高い場合は、移動支援に加え、行動援護など他サービスの適合性も専門職と検討を。
このように、移動支援と同行援護は「制度の器」「対象者」「認定の考え方」「求められる専門性」が明確に異なります。
視覚障害に特有の情報支援が必要かどうか、児童か成人か、そしてお住まいの自治体の移動支援の基準がどうなっているかが、使い分けの最重要ポイントです。
具体的な可否や支給量は自治体判断となるため、最終的には市区町村障害福祉担当窓口か、計画相談支援事業所にご自身の状況を伝えて照会されることをおすすめします。
受けられる支援内容や外出先の範囲は何が違うの?
結論を先にまとめると
– 同行援護は、視覚障害のある人に特化した「全国一律の障害福祉サービス(自立支援給付)」で、外出時の安全な移動支援に加え、見えない・見えにくいことに由来する情報支援(代読・代筆・状況説明など)まで専門的にカバーします。
外出先は、通院・行政手続・買い物・余暇・地域活動など、日常生活および社会生活全般に広く認められます(ただし通勤・通学など反復継続する移動は原則対象外)。
– 移動支援は、市区町村が実施する「地域生活支援事業」の一メニューで、対象障害や運用が自治体ごとに異なるのが特徴です。
外出支援の対象は主に「社会参加(余暇・地域活動等)のための外出」で、通勤・通学など恒常的な移動や、通院は原則対象外とされることが多く、移動できる範囲(市内限定など)や利用時間数も自治体裁量で細かく定められています。
以下、受けられる支援内容と外出先の範囲の違いを、根拠も示しながら詳しく解説します。
1) 法的な位置づけの違い(これが内容と範囲の違いの根っこ)
– 同行援護
– 根拠法 障害者総合支援法に基づく「障害福祉サービス(自立支援給付)」の一つ。
– 全国共通の指定基準・報酬・人員配置・研修要件が厚生労働省令・告示・通知で定められており、自治体間で基本的なサービス内容は変わりません。
– 専門職(同行援護従業者)による提供が義務づけられ、視覚情報の取得困難に起因する支援まで含めて制度設計されています。
移動支援
根拠法 同法に基づく「地域生活支援事業」(市区町村事業)の一類型。
国の基本要綱はありますが、具体の対象者、利用上限時間、対象となる外出目的・範囲、自己負担の扱いなどは自治体が要綱で定めます。
このため、同じ名称でも市区町村によって利用できる内容や範囲が大きく異なります。
2) 受けられる支援内容の違い
– 同行援護で受けられる主な支援(全国共通)
– 安全な外出のための付き添い・誘導(白杖や誘導方法に関する理解に基づく見守り・先導・危険回避)。
– 視覚情報の取得・処理支援(代読・代筆、標識・案内表示・時刻表・路線案内・価格表示などの読み上げ、状況・景色・混雑状況などの口頭説明、手続書類の記入補助など)。
– 外出に付随して必要となる最低限の身体介助(移動中のトイレ介助、食事時の配膳・取り分け、座席の確保・乗降介助など)。
ただし家事援助は含みません。
– 公共交通の乗換え支援、切符購入、乗車位置・降車タイミングの支援。
– 医療機関受診に伴う院内の移動や会計・受付等の支援(診療そのものへの介助や医療行為は不可)。
– 原則、支援者が利用者から離れて単独で用事を済ませる「おつかい」等は不可。
あくまで「同行」して支援します。
– 提供するのは「同行援護従業者研修」を修了した職員。
視覚特性への理解・誘導技術・情報提供技術が求められます。
移動支援で受けられる主な支援(自治体差あり)
屋外での移動が困難な人に対する付き添い・見守り・案内、公共交通機関の利用支援。
行き先での簡単な手続補助や状況説明は行う場合がありますが、同行援護のように視覚情報の詳細な代読・代筆や高度な情報支援までを制度として担保しているわけではありません(自治体要綱次第)。
身体介護が継続的に必要な場合は、原則として居宅介護・重度訪問介護等の他サービスを案内されることが多い。
支援者の資格要件は自治体が定め、一般に「ガイドヘルパー研修(全身性/知的・精神等)」修了者などを要件とすることが多いですが、同行援護のように視覚特化の研修は必須ではないことが多い。
スタッフの実費(交通費・入場料等)は利用者が負担する形を採る自治体が多数(同行援護でも運営基準上、実費徴収が可能)。
3) 外出先・目的の範囲の違い
– 同行援護(広い。
日常生活・社会生活上必要な外出を幅広く対象)
– 典型例 通院、役所や金融機関での手続、買い物、地域行事参加、趣味・文化活動、講座・サークル、選挙投票、親族行事、余暇(映画・美術館・コンサート・スポーツ観戦・外食など)。
– 旅行・遠出 社会参加や余暇として位置づけられ、ケアマネ(計画相談)や市町村の支給決定で必要性・安全性・時間数が認められれば可能。
宿泊を伴う場合や長時間連続の利用は、計画上の妥当性・支給量の範囲内かがポイント。
全国サービスのため、市外・県外でも制度上の壁はありません。
– 原則対象外 通勤・通学など、反復・恒常的な移動(毎日の送迎代替)。
事業所通所は事業所の送迎が優先されます。
– 留意 医療機関内の介助は、診察行為そのものや医療職の指示領域には踏み込みません。
支援は移動・情報提供・会計等まで。
移動支援(自治体裁量が大きく、外出目的・範囲に制限が付きやすい)
典型例 社会参加を目的とした外出(地域行事、余暇活動、社会見学、ボランティア参加、選挙投票、公共施設利用など)。
買い物や行政手続を含める自治体もあります。
制限されがちなもの 通勤・通学などの恒常的移動、福祉サービス事業所への送迎代替、通院(通院は「通院等介助」等の別サービスに位置づけられるため除外とする自治体が多い)、長距離・宿泊を伴う旅行、営利活動のための移動など。
移動可能な地理的範囲 市内限定、隣接市まで、日帰り圏のみ等、自治体要綱に明記されていることが多い。
市域外に出る場合は事前許可制や例外扱いとなることが一般的。
利用時間数 月上限や1回あたり上限時間を自治体が設定。
夜間・早朝の利用を認めない、または割増を設けない等のローカルルールがある場合も。
4) 具体例で見る違い
– 病院受診
– 同行援護 対象。
病院までの道中の誘導、院内での受付・会計や案内板の読み上げ、処方箋の受け取りなどを支援(診療行為への関与は不可)。
– 移動支援 原則対象外とする自治体が多い(通院は別制度の対象という整理)。
自治体によっては例外的に認める場合もあるため要確認。
通勤・通学
同行援護 原則対象外。
反復・恒常的な移動は制度趣旨外。
移動支援 同じく原則対象外(多くの自治体要綱に明記)。
役所での各種手続
同行援護 対象(書類の読み上げや窓口までの誘導、記入補助等)。
移動支援 対象とする自治体が多いが、事前申請や目的確認を要する場合あり。
余暇(映画・美術館・コンサート・スポーツ観戦など)
同行援護 対象。
チケット購入や場内誘導、表示の読み上げ等も含めて支援。
移動支援 典型的に対象。
自治体により回数・時間・距離に上限がある。
旅行・遠出
同行援護 必要性・安全性が計画で認められ支給量の範囲内なら可能。
長時間利用は市町村の支給決定で時間配分が必要。
スタッフの交通費・入場料等は実費負担が通常。
移動支援 自治体によっては市外不可、宿泊不可、長距離不可などの制限が一般的。
5) 対象者の違い(誰が使えるか)
– 同行援護 視覚障害により屋外での移動に著しい困難がある人(身体障害者手帳の等級だけで機械的に線引きはせず、実態に即して支給決定)。
他の障害の有無は問わないが、必要な安全管理上、二人派遣等の加算や他サービスの併用を検討する場合あり。
– 移動支援 屋外での移動が困難な人(障害種別は自治体要綱で規定。
知的・精神・発達障害や全身性障害など広く対象とするのが一般的)。
視覚障害者については、同行援護が創設された後は「視覚に起因する支援は同行援護を優先」とする運用が多い。
6) 費用負担の違い
– 同行援護 利用者負担は原則1割(世帯所得に応じた月額上限あり)。
スタッフの交通費・入場料等は運営基準に基づく「実費」として別途徴収可。
– 移動支援 原則1割負担の枠組みですが、減免や上限設定などは自治体裁量。
スタッフの実費は自治体要綱に従って徴収。
7) 根拠(法令・通知・ガイドライン)
– 同行援護
– 障害者総合支援法(正式名 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づく「障害福祉サービス(自立支援給付)」の一つとして位置づけ。
– 厚生労働省令・告示(指定同行援護事業者の人員、設備及び運営に関する基準、報酬告示 等)で、業務範囲・人員配置・研修・記録・運営・実費徴収などの全国統一ルールを規定。
– 厚生労働省通知・Q&A(同行援護の手引き、業務範囲Q&A 等)で、具体的に「視覚情報の提供(代読・代筆・状況説明)」「外出に付随する最小限の身体介助」「通院を含む日常生活・社会生活上の外出は対象」「通勤・通学など恒常的移動は原則対象外」などの解釈が示されています。
移動支援
同法に基づく「地域生活支援事業」の一メニューとして、厚生労働省の「地域生活支援事業実施要綱(障害保健福祉部長通知)」に定義(例 屋外での移動に困難がある障害者等に対し、外出時の移動の支援を行う事業)。
同実施要綱の考え方では、「社会参加を目的とする外出支援」を中心に整理され、通勤・通学等の恒常的な移動や、他制度(例 通院等介助)の対象となるものは原則除外する方向が示されています。
具体の対象・範囲・上限時間・市外移動の可否・夜間早朝の扱い・実費徴収は、市区町村が定める「地域生活支援事業実施要綱(移動支援)」で規定。
従って自治体ホームページや障害福祉課での要綱確認が不可欠です。
8) どちらを使えばよいかの目安
– 視覚障害が主因で、移動中の安全確保と「見えないことに由来する情報支援(代読・代筆・状況説明)」が必要なら同行援護が適合。
通院・行政手続・買い物・余暇など幅広い外出目的に対応できます。
– 視覚障害以外が主で、社会参加(余暇・地域活動等)のための付き添いが主眼なら、自治体の移動支援を検討。
ただし通院・恒常的移動は対象外になりやすいので、別サービス(通院等介助、行動援護、重度訪問介護、居宅介護の通院介助等)との役割分担を相談支援専門員と整理するとスムーズです。
9) 実務上の注意
– 申請・支給決定 同行援護は市区町村が支給決定(支給量・上限時間)を行い、計画相談(サービス等利用計画)に基づく運用が基本。
移動支援は自治体の所定申請で利用枠・上限が決まり、ケアマネによる計画は任意扱いの自治体もあります。
– 事前相談 旅行や長時間外出などは、いずれの制度でも「必要性・安全性・支給量内か」を事前に相談・申請するのが確実。
– 費用 スタッフの交通費・入場料等の実費は原則利用者負担(領収・精算ルールは事業所規程に従う)。
– 事業所選び 同行援護は視覚特化の研修修了者がいる事業所を。
移動支援も障害特性に理解のあるガイドヘルパーがいる事業所だと安心。
10) まとめ
– 同行援護は「視覚障害に特化し、移動+情報支援までを全国共通の基準で提供するサービス」。
外出目的は日常・社会生活全般に広く対応(通勤通学は除外)。
– 移動支援は「自治体事業としての外出支援」で、主に社会参加・余暇の外出を対象に、市区町村ごとに範囲・上限・条件が大きく異なる。
通院や恒常的移動は原則除外が多い。
– 迷ったら、市区町村の障害福祉課(地域生活支援事業担当・障害福祉サービス給付担当)か、相談支援専門員に、利用目的と必要な支援の内容(安全確保・情報支援の要否)を伝えて制度選択を相談するのが近道です。
参考(根拠となる公的資料の種別)
– 障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)
– 厚生労働省令・告示「指定同行援護事業者の人員、設備及び運営に関する基準」「指定障害福祉サービス等の報酬に関する告示」等
– 厚生労働省通知・Q&A「同行援護の手引き」「同行援護の業務範囲に関するQ&A」等(視覚情報の提供、通院を含む外出の可否、通勤通学の扱い等を明確化)
– 地域生活支援事業実施要綱(厚生労働省障害保健福祉部長通知)および各市区町村「地域生活支援事業実施要綱(移動支援)」 対象外出の範囲(社会参加中心、通勤通学・通院の除外)、市外移動の可否、上限時間、実費徴収の規定など
最終的な可否や具体条件は自治体の要綱と市町村の支給決定に左右されます。
お住まいの市区町村名を教えていただければ、その自治体の要綱のポイント(外出先の範囲、上限時間、通院の扱い、市外移動の可否、自己負担)を調べ、より具体的にご案内できます。
利用手続きや自己負担額・支給時間の決まりはどうなっているの?
ご質問のポイント(利用手続き・自己負担額・支給時間)に絞って、移動支援と同行援護の違いをわかりやすく整理します。
最後に法令・通知などの根拠も示します。
なお、移動支援は市区町村が行う「地域生活支援事業」に属するため、運用は自治体ごとに差が出ます。
一方、同行援護は国の基準に基づく「障害福祉サービス(介護給付)」で、全国で基本枠組みが共通です。
1) 利用手続き(申請から利用開始までの流れの違い)
– 移動支援(地域生活支援事業)
– 申請先 お住まいの市区町村(障害福祉担当課)。
– 対象の考え方 ひとりでの外出・移動に著しい困難がある人(障害種別は限定されません)。
ただし、具体の対象要件(障害者手帳の等級や年齢など)は自治体の「実施要綱」で定められ、差があります。
– アセスメント・計画 原則として給付決定のための簡易アセスメントを市区町村が行います。
計画相談支援(サービス等利用計画)の作成を必須としない自治体が多い一方、個人ごとに支援の目的・頻度・時間数を整理するため、事業者側で「個別支援計画」を作るのが一般的です。
– 受給者証 多くの自治体で「地域生活支援事業(移動支援)受給者証」や利用決定通知が交付されます。
これに基づいて事業者と契約して利用開始します。
– 事業者 市区町村が委託・登録した移動支援事業者(いわゆるガイドヘルパー事業)。
従事者の要件は自治体要綱で定められ、旧来の「ガイドヘルパー研修」や各障害特性に応じた研修を要件化する例が多いです。
同行援護(障害福祉サービス=介護給付)
申請先 お住まいの市区町村(障害福祉担当課)。
対象の考え方 視覚障害により単独での外出が著しく困難な人が中心(移動の介助に加えて、代読・代筆・情報支援など視覚情報の補完を要することが想定)。
身体障害者手帳(視覚)の等級を目安にする自治体が多いですが、最終判断は個別の困難性と必要性で行われます。
アセスメント・計画 原則、計画相談支援(相談支援専門員による「サービス等利用計画」)の作成・提出が必要です。
市区町村はアセスメントと計画に基づいて支給量(時間数)を決定します。
障害支援区分 多くの自治体で区分認定手続き自体は経ますが、同行援護の支給量は機械的に区分に連動せず、個別の外出ニーズで決めるのが一般的です。
受給者証 「障害福祉サービス受給者証(同行援護)」が交付され、指定同行援護事業者と契約して利用開始します。
事業者・従事者 事業者は「指定同行援護事業者」。
従事者は「同行援護従業者養成研修(一般課程・応用課程)」修了など、国の基準に適合した資格・体制が必須です。
移動介助に加え、情報支援(代読・代筆・音声化の工夫等)を専門的に提供します。
2) 自己負担額(いくら払うのか)
– 共通する基本
– 定率負担 原則1割負担(利用したサービス費用の1割を本人が負担)。
– 月額上限 所得に応じた「負担上限月額」が設定され、それを超えての負担はありません。
生活保護世帯や低所得世帯は0円または低額となる仕組みです。
– 実費 交通費や入場料、同行職員の交通費などは原則実費で利用者負担(事業者や自治体のローカルルールで例外もあり得ます)。
移動支援の自己負担の特徴
法の枠組みは自治体事業であるため、1割負担の採用や減免・上限の適用方法は自治体要綱によります。
多くは障害福祉サービスと同様の1割+上限月額の考え方を準用していますが、独自の無料化や低負担化、回数券方式等を採る自治体もあります。
上限管理との関係 「障害福祉サービス」の上限管理(どの事業者が月額上限までの自己負担を取りまとめるか)は、原則として地域生活支援事業(移動支援)には直結しません。
ただし、自治体によっては上限月額の算定・適用を一本化して扱っている場合もあります。
同行援護の自己負担の特徴
全国共通で「障害福祉サービス」の自己負担ルールが適用されます。
1割負担であっても、所得区分に応じて月額上限がかかり、それ以上は追加負担不要です。
早朝・夜間・深夜・休日等の加算がつく時間帯の利用でも、自己負担は最終的に上限月額の枠内で頭打ちになります(実費は別途)。
3) 支給時間(どれくらいの時間が出るのか)
– 決め方の枠組み(共通の考え方)
– 市区町村長が個別のニーズ(外出の目的・頻度・必要な支援の内容・居住地や交通事情・本人の残存能力・代替手段の有無)を踏まえ、月あたりの時間数(または回数)を支給決定します。
– 同じ「通勤・通学・通院」でも、移動距離や乗継、待ち時間、情報支援の必要度によって所要時間が変わるため、面談・計画で精査します。
移動支援の時間決定の特徴
自治体の「支給決定基準表」に基づき、目的別(通院・通学/通勤・社会参加・余暇など)に上限時間や回数の目安を設け、そこに個別事情を反映して決定するのが一般的です。
時間に含める範囲は「移動に伴う介助」が中心です。
視覚情報の読み上げ・代筆といった専門的情報支援は必須要件ではなく、必要な場合は同行援護を案内されることがあります。
1回の外出あたりの連続利用時間や1か月の上限に関し、自治体独自の上限(例 1回◯時間まで、月◯回まで等)を設ける例が多いです。
同行援護の時間決定の特徴
視覚情報の取得支援(代読・代筆・案内・状況説明)と移動介助を一体で提供するため、所要時間には乗車前後の案内、乗継の誘導、目的地での情報支援、待機・付添いの時間を含めて見積もります。
「就業・就学・通院など日常生活上不可欠な外出」か「社会参加・余暇」かで優先度を区分し、必要度の高い外出から時間を配分する運用が一般的です。
報酬上は早朝・夜間・深夜・休日等の加算区分があり、長時間の外出も想定されますが、支給量(時間数)はやはり市区町村の個別審査で決まります。
障害支援区分が直接の上限値にはならず、ニーズに即した時間設定が可能です。
4) 併用・優先順位などの注意点
– 重複給付の整理
– 同じ目的・同じ時間帯に、移動支援と同行援護を重ねて使うことはできません。
どちらが適切かは外出の目的や必要な支援の質(情報支援の要否、危険回避、専門性)で判断します。
– 介護保険との関係
– 65歳以上や40~64歳の特定疾病の場合は介護保険が優先です。
ただし、介護保険にない「視覚情報支援」などは同行援護を併用できる余地があります。
個別審査で判断されます。
– 交通費・入場料
– 利用者本人分に加えて、同行する従業者分の交通費・入場料等の実費負担が原則必要です(自治体要綱や事業者規程で扱いが異なる場合あり)。
– 年齢・学校利用
– 通学・学外活動の支援範囲は自治体で線引きが異なることがあります(学校内の支援は教育の支援で対応、校外は福祉で対応などの整理)。
個別に確認が必要です。
5) 根拠(法令・通知など)
– 共通の根拠法
– 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)
– この法律に基づき、障害福祉サービス(介護給付・訓練等給付など)と、市町村が実施する地域生活支援事業が位置付けられています。
– 移動支援の根拠
– 同法に基づく「市町村地域生活支援事業」の一類型としての「移動支援」。
実施内容・対象・利用者負担・上限等は、厚生労働省の「地域生活支援事業実施要綱(通知・ガイドライン)」を参照しつつ、各自治体が定める「実施要綱」「運用基準」により具体化されます。
– したがって、対象者要件、支給量(時間数や回数)、利用者負担の細目は自治体の要綱が直接の根拠となります。
– 同行援護の根拠
– 同法における「障害福祉サービス(介護給付)」の一つとして規定。
サービスの定義は、視覚障害により移動に著しい困難がある人に対し、外出時の移動の援護及び必要な情報提供(代読・代筆等)等を行うものとされます。
– 省令・告示
– 障害者総合支援法施行規則
– 指定居宅介護等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)
– 介護給付費等の算定に関する告示・通知(報酬単位、加算、時間区分等)
– 同行援護従業者養成研修の標準的カリキュラム等に関する通知
– 自己負担の根拠
– 障害福祉サービスの利用者負担は、同法および施行令・告示(利用者負担上限月額の区分基準等)に基づき、原則1割負担+月額上限の仕組みで運用されます。
6) まとめ(違いの要点)
– 制度の位置づけ
– 移動支援 自治体実施の地域生活支援事業。
基準は自治体要綱で差が出る。
– 同行援護 国の基準による障害福祉サービス(介護給付)。
全国共通の枠組み。
– 対象・支援内容
– 移動支援 移動に伴う介助を広く対象。
情報支援は必須ではない。
– 同行援護 視覚障害者向けに、移動介助+情報支援(代読・代筆等)を一体提供。
– 手続き
– 移動支援 申請は比較的簡易。
計画相談は必須でないことが多い。
– 同行援護 計画相談支援(サービス等利用計画)を伴う給付決定が原則。
– 自己負担
– 移動支援 自治体設定(多くは1割+上限を準用、例外あり)。
– 同行援護 全国共通の1割+上限(月額)ルール。
– 支給時間
– どちらも市区町村が個別ニーズで決定。
ただし、同行援護は情報支援を含む前提で時間見積りされ、専門性の分だけ長めの設定が必要になる場面が多い。
最後に実務的アドバイス
– まずはお住まいの市区町村の障害福祉担当課に、「移動支援の実施要綱」「支給決定基準(時間数・回数の目安)」「自己負担ルール(減免・上限)」を取り寄せてください。
– 視覚障害があり、外出時に情報支援(代読・代筆、案内、状況説明)が必要なら、同行援護が適します。
視覚以外の障害や、単純な移動介助中心なら移動支援が候補になります。
– 相談支援専門員に外出目的・頻度・所要時間(乗継や待機を含む)を具体的に伝え、過不足のない時間設定になるよう計画段階で調整するとスムーズです。
– 介護保険対象の方は、介護保険で代替できない部分(情報支援など)に限って同行援護を併用できるか、自治体と個別に協議してください。
不明点やお住まいの地域の具体基準がわかれば、さらに詳しく整理してお伝えできます。
どんな場面ではどちらを選べばいいの?事例で見るとどう違うの?
要点の先取り
– 移動支援=自治体の地域生活支援事業。
視覚以外を含む広い対象(知的・発達・精神・全身性など)の「外出」支援を、自治体の要綱に沿って提供。
目的・支給量の裁量は自治体に大きい。
– 同行援護=障害福祉サービス(全国共通の制度)。
視覚障害者が外出時に必要とする「移動の介助+情報提供(代読・代筆等)+見えないことに起因する安全確保」を専門研修を受けた従業者が行う。
概念と対象の違い
– 移動支援(地域生活支援事業)
– 実施主体 市区町村(自治体裁量が大きい)
– 対象 自治体が定める「単独での外出が困難な障害のある人」。
視覚障害者も対象に含む自治体もあるが、視覚は同行援護を優先させる自治体が多数。
– 目的 社会参加・余暇・買い物・官公庁手続きなどの外出支援。
通勤・通学など恒常的・営利目的の外出は原則対象外。
– 中身 外出時の付き添い・道案内・公共交通の乗降介助など。
情報支援は最低限で、専門要件は自治体基準。
– 支給・費用 利用時間や上限は自治体ごとの要綱で決定。
利用者負担は多くが1割(所得に応じて上限あり)だが詳細は自治体で異なる。
同行援護(障害福祉サービス)
実施主体 国の制度(指定事業所が提供)
対象 視覚障害により単独での外出に著しい困難がある人(障害者手帳の等級要件等は自治体の審査で確認)。
児童は別制度(児童福祉法)の扱いになることが多く、自治体で代替(移動支援等)となる場合がある。
目的 外出時に必要な移動の介助に加え、情報取得・意思決定を支える支援(代読・代筆・情報提供)と安全確保を包括的に行う。
通勤・通学の恒常利用は原則対象外。
中身 見えないことに起因する危険回避、経路選択、案内表示・書類の読解支援、手続きの補助、買い物での商品情報提供などを、同行援護従業者養成研修(一般・応用)修了者が実施。
支給・費用 障害福祉サービス受給者証に基づく支給決定。
利用者負担は原則1割(世帯所得に応じた月額上限あり)。
報酬体系・時間区分・各種加算は全国で共通のルール。
どちらを選べばいい?
判断の目安
– 主な困難が「視覚による情報取得・危険回避」か?
– はい → 基本は同行援護(情報支援と安全確保がサービスの中核)
– いいえ(経路判断・対人不安・身体介助などが中心) → 移動支援(または他サービス)を検討
– 外出の目的は?
– 余暇・社会参加・買い物・手続き → 両制度の対象になりうるが、視覚障害なら同行援護を優先
– 通院 → 訪問介護の「通院等乗降介助」や自立支援医療の送迎が適切な場合がある
– 通勤・通学(恒常) → 多くの自治体・ルールで対象外。
就労移行・通学サポート等、別の支援策を検討
– どの程度の専門性が要る?
– 書類の代読、商品の比較情報、場内アナウンスの代替、複雑経路の安全誘導が必要 → 同行援護
– 見守り・道順確認・公共交通の乗降など一般的介助で足りる → 移動支援
– 年齢・地域要件は?
– 18歳以上の視覚障害者 → 同行援護が原則(自治体差あり)
– 障害児の外出支援 → 自治体の移動支援や障害児向け事業で代替されることが多い
具体的な場面別の違い(事例)
– 役所で各種手続き(視覚障害2級、単独外出は不安)
– 同行援護 窓口の場所誘導、整理券機の案内、待ち呼びの代替、書類の代読・記入補助、必要事項の確認、提出まで一連を支援。
視覚情報の補完が中心。
– 移動支援 庁舎への移動・案内・付添いは対応できるが、代読・代筆など情報支援は自治体要綱や事業所の範囲次第で限定的になりやすい。
– 選び方 情報支援が不可欠なら同行援護が適切。
初めて行く大規模商業施設での買い物
同行援護 売場マップの把握、店舗検索、商品の表示(成分・賞味期限・色・サイズ)や価格比較の読み上げ、レジやセルフレジ操作の支援、混雑時の安全確保。
移動支援 店舗までの移動やカート操作の見守りは想定範囲。
ただし商品の細かな情報提供は限定的になりがち。
選び方 商品の情報を頼りに自ら選びたい場合は同行援護が向く。
バスと電車を乗り継いで図書館へ(ASD・知的障害、視覚は正常)
同行援護 対象外(視覚障害が前提)。
移動支援 時刻表確認、乗換え支援、順番待ちの声かけ、貸出手続きの同行などで外出機会を保障できる。
通院の付添い(車いす使用、視覚障害なし)
同行援護 対象外。
移動支援 自治体によっては対象外(通院は「通院等乗降介助」等の別サービスが原則)。
選び方 訪問介護の通院等乗降介助や地域の患者搬送・福祉有償運送を優先検討。
コンサートやスポーツ観戦(視覚障害あり)
同行援護 会場までの誘導、座席案内、プログラムの読み上げ、場内案内や非常口情報の提供などが包括される。
移動支援 会場までの同行は可能でも、演目・アナウンス等の代替情報提供は限定的。
選び方 体験の質(情報取得)まで支えるなら同行援護。
小学生の発達障害児の余暇外出
同行援護 制度上は大人向けの障害福祉サービスであり、児童には適用されないのが一般的。
移動支援 自治体の地域生活支援事業(障害児対象)や放課後等デイサービスの送迎・外出プログラム等で対応。
制度・運用の実務上の違い
– 従事者の資格
– 同行援護 同行援護従業者養成研修(一般課程・応用課程)の修了が要件。
視覚特性と情報支援に関する専門性が担保。
– 移動支援 自治体が定める研修(旧ガイドヘルパー研修等)や介護職員初任者研修など。
要件は自治体差が大きい。
申請・計画
同行援護 障害福祉サービス受給者証の申請。
原則、相談支援専門員がサービス等利用計画を作成した上で市区町村が支給決定。
移動支援 自治体窓口に申請。
簡易な計画または相談支援を経て支給決定。
月あたりの時間数や利用目的の枠組みは自治体要綱に依存。
費用と交通費
利用者負担 いずれも原則1割だが、同行援護は障害福祉サービスの負担上限月額(世帯所得に応じ決定)が適用。
移動支援は自治体の上限・減免の仕組みに従う。
交通費 本人の交通費は実費負担が一般的。
ヘルパー側の交通費の扱いは、同行援護では報酬に内包され原則として事業所負担とする運用が多い。
一方、移動支援は自治体要綱で定めが分かれるため、申請前に確認が必要。
併用と重複
同一時間帯に移動支援と同行援護の重複給付は不可。
視覚障害者が移動支援を使えるかは自治体判断。
同行援護が整っている地域では、同様目的での移動支援は抑制される傾向。
迷ったときの簡易フローチャート
1) 主たる課題は視覚情報の不足・危険回避か?
→ Yesなら同行援護を第一候補に。
2) 外出目的は恒常的な通勤・通学か?
→ Yesならどちらも原則対象外。
別支援を検討。
3) 札・掲示・書類の読み取りや代筆が要るか?
→ 要るなら同行援護、不要なら移動支援でも可。
4) 自治体の要綱でその目的が認められるか?
→ 移動支援は自治体差が大。
事前確認。
根拠(制度的位置づけ)
– 同行援護は「障害者総合支援法」に基づく障害福祉サービスの一類型。
法律本体と省令(障害福祉サービスの人員・運営基準)で、対象(視覚障害で移動に著しい困難)と内容(移動の介助、代読・代筆等の情報支援、外出に伴う介護)が規定されています。
法令の条文や最新基準はe-Gov法令検索で「障害者総合支援法」「障害者総合支援法施行規則」等を参照できます。
– 移動支援は「地域生活支援事業」(同法に規定)として市区町村が実施。
国が示す実施要綱・ガイドラインに沿いつつ、対象・支給量・運用は自治体が定めます。
厚生労働省の「地域生活支援事業ガイドライン」「障害福祉のしおり」等に位置づけが整理されています。
– いずれも通勤・通学等の恒常的移動を原則対象外とする扱いは、国の解釈通知と各自治体要綱で繰り返し示されている運用上の原則です(最新は自治体の実施要綱で確認を)。
注意したい周辺サービスとの線引き
– 通院の付き添い 訪問介護の「通院等乗降介助」や病院の移送サービスが優先される場合が多い。
– 行動面のリスクが高い(強いパニック・自傷他害等) 移動支援より「行動援護」(障害福祉サービス)の対象となることがある。
– コミュニケーション支援(手話・要約筆記)は「意思疎通支援事業」(地域生活支援事業)の領域。
手続きの進め方(実務のコツ)
– まずはお住まいの市区町村の障害福祉担当課に「移動支援(地域生活支援事業)」と「同行援護(障害福祉サービス)」の要綱・利用案内を取り寄せ、対象・目的・上限時間・交通費の扱いを確認。
– 視覚障害が主因なら、相談支援専門員(計画相談)に依頼し、同行援護のサービス等利用計画を作成して受給者証申請へ。
– 視覚以外が主因なら、自治体の移動支援の支給決定を申請。
必要に応じて簡易な利用計画を添付。
– 事業所選びでは、同行援護研修修了者の配置状況、情報支援の実績、交通費の扱い、土日・夜間の対応可否を確認。
– 目的(例 買い物、手続き、余暇)ごとの利用可否は自治体差が大きいので、事前に「行き先・目的・頻度」を具体的に伝えて確認する。
まとめ
– 視覚障害に伴う「見えないことゆえの困りごと(情報取得・意思決定・安全確保)」まで一体的に支えるのが同行援護。
対象は限定的だが、専門性と制度の安定性が強み。
– 障害特性が多様で、地域の実情に即して柔軟に外出機会を作るのが移動支援。
自治体裁量が大きいため、使い方は地域ルールの把握が鍵。
– 迷ったら「主たる困難は視覚か」「外出の目的は何か」「情報支援が必要か」を軸に選ぶ。
併せて自治体要綱と相談支援専門員の助言で最適化するのが実務的です。
参考の探し方
– e-Gov法令検索で「障害者総合支援法」「障害者総合支援法施行規則」を検索(同行援護の法的定義)。
– 厚生労働省の障害福祉サービス総合ページ(制度全体と同行援護の概要)。
– お住まいの自治体サイトで「地域生活支援事業 要綱 移動支援」を検索(対象・上限・交通費等のローカルルール)。
不明点や居住地のルールがわかれば、具体的なケースで「どちらが使えるか」「申請書の書き方」「想定支給量」の目安も一緒に整理できます。
【要約】
移動支援は自治体実施の地域生活支援事業で、対象や内容・上限が自治体裁量。幅広い障害の外出(余暇や社会参加)を主に付き添いで支援。同行援護は自立支援給付で全国標準、視覚障害に特化し安全確保に加え代読・代筆等の情報支援を実施。いずれも原則1割負担、通勤通学は原則対象外。従業者研修要件も同行援護は国基準、移動支援は自治体差。